「怒り」学のススメ

「怒り」学のススメ

高ストレス社会とも言われている現代。
仕事でもプライベートでも、
イライラする日常を送っている人も多いのではないでしょうか?
上司や後輩の行動に、夫や子どもの態度に、
お店の人の言葉に…。イライラが止まらない!
そんなあなたのために、
日本アンガーマネジメント協会認定講師の棚多里美さんに
「怒り」をコントロールする術を教えて頂きました。



棚多里美さん


「怒り」とは?
~相手へのリクエスト~

 みなさんは“怒り”に対してどんなイメージを持っていますか?怒ってはいけない?怒りをあらわにすることは恥ずかしいこと?だからアンガーマネジメントは怒らなくなるようにすること?いえいえ、アンガーマネジメントは、怒らないことが目的ではなく、「怒る必要のあることは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らなくて済むようになる。」その線引きができるようになることをめざしています。
 そう、怒っても良いんです。なぜなら、よく喜怒哀楽と言いますが、こうした感情は人間にとって自然な感情で、必要な感情です。怒りのない人はいないし、なくすことも不可能。どんなに穏やかな人でも持っている感情です。
 さらに怒りの感情は機能や役割も持っています。それが身を守るための感情で防衛感情といいます。例えば信号待ちしていたらバイクがブインブインと威嚇してきたら、みなさんはなんとおっしゃいますか?危ないじゃない…と怒ると思います。小さな子どもを連れていたらなおさら強く。それは何か守りたいものがあるということなんですね。私たちは安心安全、それが脅かされるとき、怒りが生じます。怒る理由はさまざまですが、怒っている人がいたら「何を守ろうとされてるのか」と考えてみましょう。これだけでも気持ちが静まりますよね?
 怒りの感情には5つの性質があります。①高いところから低いところへ流れる、②身近な対象にほど強くなる、③矛先を固定できない、④伝染しやすいといったマイナスの作用がありますので、パワハラやDVにつながったり連鎖しやすいので断ち切る必要があるのです。一方プラスの役割もあります。それは、⑤怒りはエネルギーになるということです。たとえばこの間のオリンピックで、かつてオリンピックの選考に漏れた、悔しいという気持ちが、頑張ってリベンジしようというエネルギーになってメダルをとったということが話題になりましたね。私も核家族で3人の子育てをしながら働き続けることはなぜこんなに難しいのかという怒りが、社会を変えていきたいという行動へのモチベーションにつながったように思います。変革する、何かを達成する、新たなものを創出するといったポジティブな方向に持っていきたいものです。


相手に対するリクエスト


怒っている



「怒り」は第二次感情
~わかって欲しい、この気持ち~

 怒りは第二次感情です。ここはとても大事なところです。怒りは突然湧いてくるわけではなく、必ずその前に第一次感情があります。怒りが出る前に、ネガティブな感情があります。不安、嫌だ、苦しい、つらい、虚しい、心配、悲しいという気持ちや、罪悪感、後悔などは根が深い気持ちで、こうした第一次感情は潜っています。表に出ていないけど、実はわかってもらいたいと思っている第一次感情があり、そして何かが引き金となって怒りとなるわけです。一番わかりやすいのは、子どもと17時には家に帰るという約束していて18時近くになっても帰ってこない、携帯持ってるはずなのに…。子どもの顔を見たとき、みなさんだったらなんといいますか?「なにやってたの!遅いじゃない!」ってなりませんか?なぜなら、事故でもあってるんじゃないか、誰かに連れ去られたんじゃないか、心配、不安、悲しい、もしかすると私の育て方が悪かったんじゃないか、罪悪感…などなど、感情の嵐ですよね。
 では、アンガーマネジメント的には、どんな伝え方になるのかというと、まず自分の気持ち(ネガティブな気持ち)を伝える、そして今度からこうして欲しいという相手へのリクエストを伝えるということがポイントになります。
 「心配したよ。事故にでもあったんじゃないか、それとも誘拐?って。電話するかメールしてね。」こんなふうに言えたらいいですね。そうすると、「心配かけてごめんなさい。今度から遅れるようならメールするね。」こんなふうに応えてくれるのではないでしょうか?


6秒やりすごす


感情の嵐



「怒り」の正体は?
~自分で怒りを選んでる~

 では、私たちを怒らせるものは何でしょう?だれかでしょうか?それとも出来事でしょうか?私たちは自分を怒らせるものは自分の外にあると思ってきたのではないでしょうか?たとえば○○さんに約束破られた、○○さんはなんで約束破って私を怒らせるの…といった具合に。それとも約束を破ったという出来事が怒らせているのでしょうか?ちょっと違うような気がしませんか。
 私たちを怒らせるものの正体は、だれかでもなく出来事でもなく、自分の中にあるんです。私たちは“べき”を持っています。たとえば、子どもは親の言うことを聞くべき、部下は上司の言うことに従うべき…など私たちは自分の中に理想とする“べき”を持ってます、自分にとっては正しい価値観の“べき”を持っていますので、その“べき”が目の前で裏切られたとき、怒りが湧いてきます。先程の例では、「約束は守るべきだ」という自分の価値観があったからだといえます。そう、怒りの原因は自分の心の中にあるので、実は自分で怒りを選んでいるのです。
 怒りが生まれるメカニズムとして、ある出来事があると、自分の経験の中で意味づけを行います。自分のフィルターを通して出来事を見ているので、同じ出来事であっても、楽しいと感じる人も腹立たしいと感じる人もいるのです。たとえば、シュレッターのスイッチ一回ごとに切ってよね、ごめんごめん忘れちゃったとあっけらかんという人もいれば、なんだよいちいちうるさいなあ、だいたい私は大事な仕事してるんだと怒る人もいる。指摘されてもどこ吹く風の人もいれば指摘されることが大嫌いな人もいる。そしてもしかすると誰が指摘するかにもよるかもしれない、日によるかもしれない…さまざまなのです。


怒りが生まれるメカニズム


意味付け



「べき」の境界線って?
~怒りに振り回されないために~

 あのとき怒っておけばよかったと後悔することはないでしょうか?次は思考のコントロール:三重丸で考えてみましょう。怒りが湧いてきて反射的に反応しないよう、6秒待ちました。怒った方がよいのか、はたまた怒らない方がよいのか、迷うところを一挙解決。三重丸の中の①許せるゾーンと②まあ許せるゾーン、これは怒らない、③の許せないゾーン…これは怒る、怒らないと後悔する、受け入れられない、ここは怒るところです。この②の点線のところ、ここが“べき”の境界線です。①は自分の価値観と同じ、100点満点怒る必要ない、②ちょっと違うけどまあ許せる、ただしこの境界線は往々にしてぶれるんです。体調や機嫌によってぶれるんです。たとえば、今日はクレームがきて対応が大変だった→家に帰ると、靴が揃えてない→リビングに入ったら汚い靴下脱ぎ捨ててる→テーブルの上には牛乳飲んだ後のグラス置いたままにしてるから固まってる。もう爆発ですよね。“べき”の境界線を安定させることが必要になります。
 そして、3つの努力が要となります。一つ目は①と②を大きくする努力、二つ目は①と②を大きくしたら安定させる、三つ目は境界線を人に見せる、どういうことかというと、たとえば、私は遅れられると嫌なのよ、5分前には来てね、遅れるときにはメール入れてねと伝えておく。あなたはいつも遅れてくるけど…これはいりません。


思考のコントロール


具体的に伝える




「怒りをコントロール」する4つの方法


① 呼吸リラクゼーション
「深呼吸をする」

怒りを感じたとき、カーッと頭に血がのぼったり、興奮状態になったりしませんか?怒ると自律神経が乱れると言われています。そこで、怒りを感じたとき、ゆっくり腹式呼吸をして気持ちを落ち着かせるのがおすすめです。鼻から4秒かけて息を吸い、8秒かけて口からゆっくり吐く、これを2~3回繰り返すと、身体の緊張がほぐれて、気持ちをリラックスさせることができます。呼吸することに集中していると、怒りがスーッと抜けていきます。


② コーピングマントラ
「心が落ち着くフレーズを唱える」

人からカチンとくることを言われたとき、心が落ち着くフレーズを唱えると、怒りが落ち着いてきます。これがコーピングマントラ「魔法の言葉」です。「まっ、いいか」「大丈夫大丈夫」なんでもいいんです。「プーさん」というのもありました。プーさんを思い浮かべるとおもわず微笑んでしまう…こんなのもありです。怒りの火が見え始めたとき、魔法の言葉をつぶやいて消火活動をしてください。冷静になったところで相手へのリクエストを伝えましょう。


③ タイムアウト
「その場から離れる」

「このままだと感情をコントロールできなくなってしまう」と思ったら、その場を離れて、いったんリセットする方法です。これ以上、場の空気を悪化させたくないときに有効です。スポーツで監督が「タイム」をとって流れを変えようとするのに似ています。そして離れて深呼吸、ストレッチなど気分が落ち着くことをしましょう。注意点は、離れるときに「水飲んでくるね。戻ってくるから。」などと戻ってくることを必ず伝えておくということです。


④ 身体リラクゼーション
「有酸素運動をする」

怒りにくい体質改善のためには、ストレスをためないように日々解消することが大切です。身体を動かす運動をすることで、脳からセロトニンが放出されて、ストレスが緩和されリラックスされることを促されます。ジョギング、ウォーキング、ストレッチ、ヨガなどがよいでしょう。激しすぎる運動は逆効果になりますのでやりすぎないことがポイントです。また、よくある解消法として、やけ酒、やけ食いは逆効果ですので、避けましょう。




はたじょメンバーにアンケート


働く女性たちの怒りの実態を探るべく、はたじょメンバーにアンケートを実施!彼女たちは一体何に怒っているのか?働く女性たちの怒り模様が見えてきます。



はたじょアンケート_Q1


はたじょアンケート_Q2


はたじょアンケート_Q3


はたじょアンケート_Q4


はたじょアンケート_Q5


はたじょアンケート_Q6

主人に対して育児のことで。
息子の態度が悪かった時。
子供がお菓子ばかり食べてご飯を食べなかった時。
娘のイヤイヤ。
ママ友に陰口を言われてると知ったとき。
年下の上司に小バカにした態度をとられてかっとなった。
頼んでおいたことを放置され続けていたこと。
会社の職員の案内不足で、お客様の受け入れがスムーズにいかずお客様を困らせた事。
満員電車で荷物がひっかかりお互い様なのに怒って詰め寄られた時。
出産終え、即育児でうまくいかず、イライラばかり。周りのサポートがもっとほしいです!
子供が道路の真ん中を歩こうとした時。
電車のホームで割り込みしてる人がいた時。
わかっているのにやらない人に対して。
旦那さんに対して自分から言った約束を守ってくれなかった時。
…など。


はたじょアンケート_Q7

仕事関係。理不尽な事を言われた時が一番腹が立ちます。
親戚に2人の子供(お兄ちゃんと妹)を差別された時。「お兄ちゃんはいい子だけど妹はね〜」のような差別。本人達にそのような言葉をかける。
何度も確認して、上司の言うとおりにしたのに、その結果をもっと上から反対されたら私のせいにされた時。
彼氏に嘘をつかれた時。
浮気された時。
友達の相談が毎回同じことで、その度に真摯に受け止めてアドバイスしてきたつもりだったが、何も改善しようとしない態度に怒った。
万引きの冤罪。知り合いもいるなかで店の人に大声でからまれた。
自分勝手なのですが、自分のわがままが通らずイライラを妹にぶつけて、けがをさせたことがあ ります。
友人から心無い言葉をかけられたこと。
子どもが友達に怪我をさせた時。
…など。


はたじょアンケート_Q8

しっかり聞いて謝り続ける。
取りあえず向こうの意見を聞いてみること。
自分が悪かった場合は素直に謝り、自身の考えも伝え、最終的にお互いが納得する形をみつける。
とにかく相手に同調してなだめる。
しばらくそっとしておいて、相手が冷静になるのを待ちます。
話を切り替えて楽しい話題に持っていく。
その場から離れて、冷静期間をお互いに持つ。
とにかく言い返さない、反論しない。
食事を一緒にして気を紛らわせる。
スルー。時間が解決する。
…など。


※「はたじょ」調べ ●調査期間/2018年6月19日〜21日
●年齢/20〜29歳 19%、30〜39歳 47%、40〜49歳 29%、50歳以上 5%







《 編集部より 》
わりと怒りっぽい性格ですが、棚多さんのお話に心がすぅーっと落ち着いてくるようです。ただでさえ暑くてイライラしがちな夏です。上手に怒りをコントロールして、職場や家庭で快適に過ごしてくださいね。






scroll_top