認め合おう、性の多様性「LGBT」

認め合おう、性の多様性「LGBT」

性別に囚われず自分らしく生きるために声を上げる人たちが増えてきました。
LGBTとはレズビアン「L」、ゲイ「G」、バイセクシャル「B」、トランスジェンダー「T」の頭文字をとった
性的少数者を表す言葉です。LGBTの人達も生きやすい社会や職場を作るにはどうすれば良いのか。
未だ社会に存在するLGBTへの偏見や差別をなくすために、そしてあらゆる人々が性の多様性を
認めあえる社会を作るために活動を行っている方々にお話をお聞きしました。
全ての人がありのままの性で暮らせる社会へ向けて、私たちができることを一緒に考えていきましょう。


LGBTとは


【L】レズビアン(女性で同性を好きになる女性同性愛者)
【G】ゲイ(男性で同性を好きになる男性同性愛者)
【B】バイセクシャル(女性を好きになる事もあれば男性を好きになる事もある両性愛者)
【T】トランスジェンダー(自認する性別と出生時の性別が一致していない方)
   男性から女性への性別移行を望む方を “MtFトランスジェンダー”
   女性から男性への性別移行を望む方を “FtMトランスジェンダー”

上記の頭文字を取った性的少数派(セクシャルマイノリティ)の総称の一つです。
ある民間の調査によると日本では人口の10.0%(10人に1人)がLGBTであるという結果が出ています。
これは左利きの人(8~15%)AB型の人(10%)などとほぼ同じ割合です。



性の多様性を理解することは、あなたを自由にすること。


眞野豊先生


〝性〟は、すべての人がもつ権利

 「性」は、私たちの存在の根幹に関わる重要なものであると同時に、人とのつながりや人生を豊かにするものです。しかし、一方で、性による差別も起こっています。性が本来持っている多様性や豊かさを見落として、狭い視点に閉じ込めてしまうと、性は差別や抑圧の原因となってしまうのです。性が持つ人生を豊かにする側面を活かすためには、性の多様なありようを理解することが大切です。
 近年、性が持つ多様な側面が、少しずつ理解されるようになってきました。しかしながら、現在でも性に対する固定的な見方や考え方が残っているのも事実です。異性愛が当たり前と考え、それ以外の性愛を異常なものやよくないものとする考え方(異性愛至上主義)や「男は○○であるべきだ/女は△△であるべきだ」といった考え方(ジェンダー規範)は、人の生き方を縛り、抑圧するものです。
 実は、私自身もそうした偏見をもっていた一人です。子どもの頃の私は、「ホモ」つまり、同性愛をよくないものだと考えていました。その頃私の頭の中にあった「ホモ」のイメージは、TVのお笑い番組で見た「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」というキャラクターでした。当時の私はこの番組を見て「きもい」とバカにしていました。ところが小学校5年生の時、私は同性に恋をしてしまったのです。同性への感情に気づいたときから私の人生は、残酷で辛いものに一変しました。それまで自分が発していた差別の言葉がそのまま自分に突き刺さったからです。
 このように、性的マイノリティ自身が性的マイノリティへの偏見を持ってしまうことは珍しいことではありません。社会に同性愛嫌悪やジェンダー規範があるかぎり、同じ社会に生きる人は誰でもそうした感情や考え方を無意識に内面化してしまう可能性があるからです。その結果、自己肯定感の低下や人間関係構築の困難などが生じ、最悪の場合は自死につながります。
 また、同性愛嫌悪的な差別に遭遇するのは、性的マイノリティとは限りません。性的マジョリティとされる人々も、男らしさや女らしさなどの規範から逸脱することへの恐怖から、豊かな人生を歩むためのチャンスを失っている可能があります。
 私は、自分自身の経験から、性による差別を根絶したいという思いで、大学では「LGBT差別と教育をめぐる社会学」という授業を行なっています。この授業では、性はすべての人がもつ権利であると教えています。そして、自分の性を大切にすると同時に、他者の性も大切にすることが大切だと伝えています。他の人の性について否定的に考える人の多くは、自分の性についても肯定的に考えることができていない場合が多いのではないでしょうか。自分自身が持っている偏見に自覚的になり、そこから自由になることは、他の人のためではなく、自分自身のために必要なことです。


広島市パートナーシップ制度に寄せる期待

広島市パートナーシップ制度に寄せる期待

 制度ができることには、二つの大きな意味があると考えます。一つは、当事者たちの生活を豊かにするということです。制度ができれば、これまで法的に家族とみなされることのなかった同性同士のカップルが家族として生活できるようになります。法的な効力がないにせよ、制度によって公に認められるということは、性的マイノリティの人生を豊かにし、経済的な安心だけではなく、精神的な安心にもつながると思います。そして、もう一つの意味は、差別の解消です。婚姻が男女の間にしか認められないということが、同性愛者への差別を支えている要因の一つだからです。公的機関が同性同士を家族と認めることは、そうした差別意識を解消するための第一歩になると考えます。パートナーシップ制度の広がりは、人々の意識を変えていくことにつながるでしょう。
 なかには、パートナーシップ制度の制定が少子化を加速させるのではないかと考える人や同性愛者が増加すると考える人もいるかもしれません。しかし、性的少数者の人権を守ることと少子化との間に科学的な因果関係はありません。そもそも性的指向は、自分で選択することができるものではなく、制度ができたからといって、同性愛者が増えるということはありません。また、制度がなければ、同性愛者が異性愛行為をするという想像は、偏見である以前に人権侵害です。世界には、20年近く前から同性婚法が制定された国もありますが、それによって少子化が加速したという事実はありません。そればかりか、同性婚法のある北欧の国々では、社会的保障が整っており、むしろ子育てがし易い社会となっています。




「知ってる?」「どう思う?」LGBT

※はたじょとは、働く女性ならではのリアルで感度の高い声を活かして、アンケートや体験レポート、モニタリングなどに積極的に参加してくれる女性が集うトマトコーポレーション読者限定のメンバー組織です。


Q1


Q2


Q3


Q4






※「はたじょ」調べ ●調査期間/2020年10月26日〜11月5日
●年齢/20〜29歳 11%、30〜39歳 42%、40〜49歳 26%、50歳以上 21%






セクシュアルマイノリティ当事者が運営するコミュニティスペース“ここいろhiroshima”
ここいろhiroshima共同代表


発足のきっかけは?

當山:同じように性別違和を持って講演されている方をユーチューブで知り、講演を聞きに行ったんです。何か活動したいという気持ちは持っていたんですが、その方に講演会をやってみたらと言われて、まだ情報発信や支援活動が少ない広島で講演会を自主開催したのが個人としての活動の始まりです。
高畑:私は子ども達の心の部分を大切にしていきたいと教員になったのですが、現場では1人1人違うはずの子ども達を同じ枠にはめねばならず、そのことに苦しさを覚えて休職しました。そのタイミングで両親にカミングアウトし、受け止めてもらえたことで「特別な人になろうとしなくていいんだ。自分らしく生きてみよう」と思えたんです。ちょうどその頃、『OUT IN JAPAN』(※)が広島に来ることになり、今しかない!とイベントへ参加しました。
當山:私も主催者側に誘われて同じイベントへ参加したんですが、そこで高畑さんが当事者代表として「子ども達の居場所を作りたい!」と話しているのを聞いて、もしよければ一緒に活動してみない?って声をかけたのがきっかけですね。
高畑:そこから動くのは早かったですね。性に関して悩んでいる子どもや保護者の居場所を作ろうと2人で話し合って。でも、日時や場所を決めても誰か来てくれるかな…という不安もあったんですが、いざ初開催してみると10名くらい来てくれて。
當山:それが18年の2月ですね。

(※)日本のLGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティにスポットライトを当て、市井の人々を含む多彩なポートレートを様々なフォトグラファーが撮影し、5年間で10,000人のギャラリーを目指すプロジェクト。


小学校での出張授業の様子


活動内容は?

高畑:居場所づくりとして、月に1回「ここいろ会」を開いています。決まった場所はなく、レクリエーションを中心にありのままでいられる安心な場づくりを心がけています。子ども達は遊ぶことでストレス発散になったり、親御さんはその間に悩みを共有し合ったり。中高生ならではの悩みを聞く会も不定期で開催しています。
當山:それから講演会も行っています。LGBTの基礎知識をはじめ、私たち2人のライフストーリーをお話して、受け止め合うことの大切さや誰もが安心して自分らしくいられる環境づくりなどについてお伝えしています。小学校などでの出張授業や先生向けの研修会を行うこともあります。


comment


私たちにできることって?

高畑:1人1人、悩んでいること、セクシュアリティは違うんです。目の前の人が何に困り何に悩んでいるのか、まずはお互いを知る機会を持ってもらうことが大事だと思います。目の前の人との信頼関係をどう作っていくかで自分自身のあり方も変わってくる。「そうだったんだね」と言ってもらえるだけで「自分らしく生きてみよう」と思えるかもしれないですから。
當山:10年前20年前と比べてLGBTについての言葉を聞く機会は増えています。昔はマイナスなイメージがありましたが、たくさんの人が様々な発信をする中でその感覚も変わってきたとも思います。ただ、言葉や情報には触れているけどイメージだけが先行している気もします。だからやっぱり実際に会って知ってもらうことが重要です。一方で、そんな情報過多によって当事者の悩みも多様化してきています。そういう人たちに、悩んでいても大丈夫だよ、無理にカテゴライズされなくても大丈夫だよと、自分たちの経験から伝え続けていきたい。生きづらさを感じている人たちの拠り所になっていければと思っています。


ここいろhiroshima






“広島市パートナーシップ宣誓制度”

 全ての人がお互いの人権を尊重し、多様性を認め合いながら、ひとりの人間としてその個性と能力を十分に発揮できる社会の形成に向けて、広島市は2021年1月に「広島市パートナーシップ宣誓制度」を創設予定です。制度は、「広島市パートナーシップ宣誓の取扱いに関する要綱」に基づき、一方又は双方が性的マイノリティ(※1)である2人が、互いを人生のパートナーとし、日常の生活において相互に協力し合うことを約した関係(パートナーシップ)である旨の宣誓書を提出し、広島市が受領証及び受領カード(以下「受領証等」という)を交付します。
 市では、婚姻や相続、税金の控除などの法的な効果は生じないものの、市営住宅の入居条件の一つである同居親族として認めるなど、利用できる行政サービスを検討しています。この制度の導入により、性的マイノリティに関する社会的理解を促進し、偏見や差別の解消を図ることと、性的マイノリティの方々が抱える生きづらさや不安を軽減し、安心感を持って自分らしく生活できるようになることが期待されます。
 この他、市担当課では関係機関と連携し、「人権啓発パンフレットの作成」「性的マイノリティをテーマとした人権啓発講座の開催」「性的マイノリティをテーマとした人権啓発パネルの展示」などの人権啓発事業を行っています。あなたも多様性について考えるきっかけにしてみてください。

(※1)性的マイノリティ:性的指向や性自認のあり方が少数派である者


対象者の要件

次の①~④のすべてに該当する者
① 双方が成年に達していること。
② 宣誓をしようとする者の少なくともいずれか一方が市内に住所を有し又は宣誓の日から14日以内に市内への転入を予定していること。
③ 双方に配偶者(事実婚を含む)がいないこと及び双方が宣誓をしようとする相手以外の者と宣誓していないこと。
④ 双方の関係が直系血族、三親等内の傍系血族又は直系姻族でないこと(養子縁組の場合を除く)。

(※2)「対象者の要件」「宣誓手続」「自治体間の相互利用」については、令和2年9月時点の制度案です。


宣誓手続

宣誓しようとする者は、宣誓する日時等について事前に広島市と調整した上で、市職員の面前においてパートナーシップ宣誓書を記入し提出する。広島市は、宣誓の要件を満たしていることを確認し、原則として宣誓日当日に受領証等を交付する。


自治体間の相互利用

パートナーシップ宣誓制度の相互利用に関する協定を締結している自治体間で転入出を行う場合、宣誓者が転出元自治体に申請することにより、転出先自治体で継続して受領証等を使用することができるものとする。現在岡山市との相互利用を検討中。


LGBT-Friendly

広島市 市民局 人権啓発部 人権啓発課
【TEL】082-504-2165(直通)


マツダスタジアムで行った人権啓発活動の様子

▲マツダスタジアムで行った人権啓発活動の様子。


「かも?」Cafe

2014年、有志により発足し、2015年に設立された「広島県セクシュアルマイノリティ協会」。福山市議会や広島県議会でのLGBTに関する一般質問への参加や、福山ばら祭、ひろしまフラワーフェスティバルでの啓発ブース出展、また多くの講演会などを行うことで、セクシュアルマイノリティの存在の周知を促進し、当事者の自由と幸福に寄与することを目的に活動しています。
そんな同協会が毎月福山と広島で開催している定例会が『「かも?」Cafe』です。性的マイノリティの方でも、「かも?」と思う人でも、その人を支えたいという人でも、誰でも参加可能。セクシュアリティに悩む多様な人と出会い、交流することによって「自分はひとりじゃない」という安心感を感じてもらえる場所です。この他、「レインボーバタフライプロジェクト」も行っています。
詳しくはHP(http://kamocafe.main.jp/)へ。


LGBT相談窓口

専門の相談員が相談者の悩みを聞き、内容に応じた解決方法の提案や支援団体の情報提供などを行っています。悩んでいる本人だけでなく、悩みを共有するご家族やパートナー、支援者の方からの相談も受け付けています。
また、エソール広島では「LGBT講座」や「LGBT研修会」も県内各所で開催。性的マイノリティへの理解を深めています。今後の講座・研修会の予定などは決定次第、ホームページにて告知されます。
「心にあるもやもや、不安なきもち、違和感は、あなたがあなたらしく生きるための大事なサインかもしれません。『ベンチに座ってあなたの隣で一緒に景色を見ながら…』電話での会話ですが、こんなイメージで話ができることを願っています。こんな悩み話しても大丈夫かな?と思うことも電話してください。」と担当者。


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