ひきこもりや働けない悩みの現状は?
ひきこもりの方が増えているように、近年、その原因となるうつ病などの気分障害の方も右肩上がりに増加しています。これは実数が増えているのか、それとも認知されるような社会構造になってきたのかは分かりません。ですが、これまでハードルが高いイメージだった精神科へ、何かおかしいと感じた時に行きやすくなってきたことは、理由のひとつに挙げられると思います。
一方、働いている方がメンタル不調になるケースも多くなっています。例えば上司がコーチングを学んでいたとしても、メンタル不調になった部下にコーチングは効果がありません。それでも変わらぬスタンスで関わり続けることで、部下を追い込んでいくケースも散見されます。人や職場でうまくやっていけない…昔はそこで能力がないというレッテルを貼られて終わりでしたが、今は自分自身で情報収集できます。気分障害も回復期であれば、自分はうつ病、適応障害、あるいは発達障害なのではと気づくことができる方も増えています。
心の病で働けない…そこで頼れる機関は?
体調が悪いわけですから、まずは医療機関を受診しましょう。治療を受けながら、我々のような福祉サービスの情報を医師から得ることもできますし、ひきこもらないように、また社会復帰できるようにサポートを行ってくれる医療機関もあります。
行政機関も頼ってください。例えば広島市なら、各区の「地域支えあい課」に、精神保健分野の保健師が常駐しています。社会福祉協議会による「広島市くらしサポートセンター」もあります。いずれも生活についての困りごと悩みごとを相談でき、それらを解決できるサービスを紹介してくれます。
福祉サービスでは、就労を目指す「就労移行支援」や、公的な補助をもらいながら自分でも収入を得ていく「就労継続支援(A型/B型)」、まずは生活を整え社会生活を送れるようにするための「自立訓練」などがあります。
前述したように、最近は精神科に通院している方も増えました。まずは主治医に相談をしてみてください。もちろん、我々のような福祉サービスに直接ご相談いただいても構いません。
心の病から生活を守るためには?
生活を守る(最低限の生活を続けていく)という点においては、「傷病手当金」や「失業手当(失業保険)」があります。それからあまり知られていませんが、精神疾患で医療を受ける場合、広島市では「自立支援医療費(精神通院医療)」の制度があり、原則、自己負担分の医療費1割を公費で補助してくれます。つまり「お金がないから通院できない」ことにはなりません。また経済状況に対しての支援には「生活保護」などのセーフティネットがあります。
働き続けるためのメンタルケア
最も大切なのは、「アサーティブなコミュニケーション」だと思います。これは、被害者でも加害者でも、そして傍観者でもないお互いを尊重し合うコミュニケーションです。多くの人は、「自分が我慢すればいい」という自己犠牲の気持ちを持ちがちです。何かの出来事が起きた時、「自己犠牲はしょうがない」の認知行動になってしまっているのです。この場合、まずはあなた自身の「認知」から疑ってみることが大切です。自分自身ではなかなか気づくことが難しいなら、友人や知人との関係の中で自身の認知に刺激をもらったり、主治医に相談してみてはいかがでしょう。
我慢すると、人は苦しくなります。それは、頭が痛い、お腹が痛いといったサインとなって現れてきます。「今日はなんだか調子が悪いから、仕事は早めに切り上げて帰ろう」。あなた自身を守るためには、これが正しい行動なのです。