働く女性の本音_vol.138_吉岡 麗さん

台本やカンペにはなるべく頼らず
カメラの向こうの視聴者へ伝わるように

作文を読むのにも緊張して泣いてしまう少女が、新体操を始め全国大会の常連に。高2ではついにインターハイ優勝。この経験が、人前で表現すること、伝えることの楽しさを教えてくれたと振り返る吉岡さん。地元愛知でのスポーツキャスターや長野放送でのアナウンサーを経て、報道からスポーツ、ナレーションまでさらに幅広い技術を身につけたいと、2024年に広島へ。

スポーツキャスター時代には、スポーツ全般の知識はもちろん、選手へのインタビュースキルやコーナーの構成、さらにプレーのどこを見てどう伝えるかまでを学んだので、スポーツコーナーは好き＆得意な分野。そんな吉岡さんをしても、広島のスポーツ熱には驚かされたそうで、カープの話題が飛び交い、夕方6時台からナイター中継があるのも新鮮なのだとか。「野球は好きでよく見ていましたが、スイングの軌道など新たな視点に気付かされ、毎回勉強になることばかりですね」。また、原爆の日に関われるのも広島にいるからできる仕事。被爆80年の節目の年に、ANN系列の全国中継を担当。平和の大切さを伝えるという貴重な経験を積めただけでなく、鹿児島や愛知に住む祖父母にも頑張る姿を見てもらえて嬉しく思いました。「再開発が進み、常に進化を続ける広島の話題を届けられることもやりがいですし、私自身も市民の一人として楽しんでいます」。

局や番組によって異なりますが、ライブ感を大事にする「ピタニュー」では本番前のリハーサルを行いません。長野時代はひと通りのリハを行っていたため最初こそ戸惑いましたが、このおかげでアドリブ力や尺を管理する力がついてきたことを実感していると吉岡さん。そんな彼女の仕事の流儀は、スタジオでは台本をインプットして、中継ではカンペに頼らず、目線が原稿を追わない、顔が下や横を向かないようにすること。自ら足を運び直接見て聞いた、映像だけではわからない情報を、カメラの向こうの視聴者に届けていきたいと話します。

「また、ナレーションも頑張っていきたいです。プロのナレーターの方は、表現の仕方や間の取り方、抑揚など今の私とはまるで違います。このスキルを磨き、もっと仕事の幅を広げていきたいですね」。目標はオールラウンダーなアナウンサー。幸いにもこの広島で様々なジャンルにチャレンジさせてもらい、日々感謝とやりがいに溢れているのだと語ってくれました。