40代で母になる、ということ。


2021_04_40代で母になる、ということ。
働く女性にとって、キャリアアップと結婚・出産は大きな関わりを持っています。
「夢を叶えるためにこの仕事をまだまだ頑張りたい」と願う一方、出産には「年齢」というタイムリミットが迫ってくるのも事実です。どちらかを選ぶのか、同時進行で頑張るのか、また、それを決めるのは「いつ」なのか。
今回は、母と子のまきクリニックの兵頭麻希先生に高齢出産(高年出産)における昨今の傾向やリスク、不妊のためにしておくべきことなど“40代で母になること”のリアルなお話を伺いました。


Q:高齢出産(高年出産)とは?またその傾向は?

 「高齢出産」とは35歳以上で子どもを出産することで、日本産科婦人科学会では35歳以上の初産婦を高年初産婦と定義しています。1992年に、それまで30歳以上としていた定義がいまの35歳以上に変更になりました。ちなみに最近では「高年出産」という言われ方も多くなっています。
 現在、高齢出産の割合は出産全体の4分の1以上で、東京などの都市部では3分の1とも言われています。これには、働く女性の増加、それに伴うキャリアアップ、晩婚化などが影響していると考えられ、私自身もここ10年くらいで特に増えている印象を持っています。
 一方で、不妊治療や生殖医療が進歩し、それが一般化してきていることも高齢出産増加の一因だと考えられます。実際、出生前診断を主に行っている当院では患者さまの約8割が35歳以上で、その多くが高年での出産に不安を抱えて来院されています。

(参考)厚生労働省の「第1子出生時の母の平均年齢の年次推移」によると、1975年に25.7歳だった平均年齢が、2005年には29.1歳、2019年には30.7歳になっています。


Q:40歳からの出産、その注意点は?

 高齢出産になると、流産のリスクが高まり、卵子の加齢により赤ちゃんの染色体異常も増えます。また高年であることは赤ちゃんだけでなく、子宮筋腫、子宮内膜症(チョコレート嚢胞)、子宮腺筋症など母体へのリスクも高めます。これらの婦人科系疾患は不妊につながることもあるため、妊娠できるかどうかというハードルに加え、妊娠中のリスクもあると言えます。初産の場合、分娩時のトラブルもあります。子宮が伸びるという経験をしていない母体は産道や子宮口が硬くなっているため(軟産道強靭)、帝王切開の可能性も高くなります。
 体の変化に対する順応性も若い頃に比べ落ちているので、疲れやすさやつらさを感じたり、切迫流早産や高血圧症候群といった妊娠中の合併症、加齢による生活習慣病なども考えておかなければなりません。第2子、第3子出生時の方がしんどい場合もあるのです。


エコー_img


Q:キャリアを優先させたい!どうすればいい?

 職場等での妊婦へのサポート制度は年々配慮されています。仕事も優先させたいなら、こうした制度をしっかり利用し、どこかで半年程度休めるタイミングを計り、早めに妊娠するのがベターでしょう。仕事に打ち込みたいなら最短で産後8週間後から職場復帰はできるわけですし、半年程度であなたのポジションや技術がなくなるわけでもありません。だからまずはライフプランに妊娠・出産の時期を組み込むことが大切で、これにはパートナーとの相談も必要です。また、前述のように高年になるにつれリスクは高まるため、その時期はできるだけ早い方がいいでしょう。少しでも早い時期にすることは合併症等のリスクを低下させ、それ自体が、入院などで仕事を休むことのリスクヘッジにつながります。


Q:いつか子どもがほしい、そのために今しておくべきことは?

 月経異常があると、排卵がうまくいっていない可能性やホルモン異常が考えられます。子宮筋腫も40歳前後の4人に1人はあり、子宮内膜症はさらに多くなります。これらがあると不妊治療に余計時間がかかったり、リスク自体も高まります。ですから産婦人科を受診してスムーズに妊娠できるためのチェックは忘れないようにしましょう。
 特に生理不順や生理痛は女性の体のサインです。仕事を優先するあまり、月経異常があっても我慢してしまう方も少なくありません。ですが体あっての妊娠・出産であり、体あっての仕事です。かかりつけの産婦人科医を持ち、定期的な健診やすぐに相談できる体制を日頃から意識しておきましょう。当院でも導入していますが、コロナ禍でオンライン診療が可能になっているクリニックも増えていると思います。仕事が忙しい場合、こうしたサービスを利用するのも賢明だと考えます。


子どもがほしい_img


Q:それでも40代で母になることは不安なのですが?

 高齢出産が増えている状況に対して、高年の方が妊娠したいと思ったときに産婦人科医は全力でそのフォローをします。クリニック自体でできることも増え、医学の進歩は多くの問題をクリアにしていけます。例えば赤ちゃんに病気がないことを出生前診断や胎児ドックで確認もできますし、染色体異常があっても色々なサポートが可能になっています。
 妊娠初期の頃は何もかもが不安になってしまいます。また、流産や死産をされた方は、とてもつらい経験から妊娠を諦めがちにもなります。でもどうか、1人で抱え込まずに産婦人科医に相談してほしいと思います。専門家と話すことによって、それまで漠然としていた不安がひとつひとつ解消されるはずです。そしてひとつでも問題がクリアになれば、きっと「母になること」に前向きになれるはずです。


母と子のまきクリニック_兵頭麻希院長




出産に関するアンケート
Q1


Q2


Q3


Q4

第一子ができるのが遅かったので、第二子は38才で出産。体力的に子育てがしんどいのと、3人目がほしいと思っても年齢的に諦めてしまったのが、今思えば残念。(46歳)
高齢出産になると障害を持った子が生まれやすいイメージがある。(25歳)
高齢出産はリスクはあると思うけど、子供を通じて知れることや学べることもあるので機会があれば良いと思う。ただ年をとってる分育てるのが大変そう。(44歳)
女性が働く中で、これから晩婚化に伴う高齢出産が増えると思います。子供を産むとどうしても自分は今まで通り働きたくても難しいと思います。男性には出来ない役割が母親にはあるから。(45歳)
適齢期があるのは分かるが、気持ちが伴わないと産もうと思わない。自分の中で気持ちが強くなった時に、産みにくい身体であれば、治療するかもしれない。(27歳)
子どもは未来の宝です!不妊治療に手厚い支援をしてあげてほしいです!(39歳)
高齢出産では無いが、一度流産を経験した。高齢でなくとも出産できない可能性をすごく考えた。(29歳)


〜高齢出産&不妊治療〜体験談

1人目は発作で救急車に乗ったので、2人目は怖くて帝王切開を選びました。

 結婚自体が36歳で遅かったのですが、1人目は38歳、2人目は41歳でした。1人目の時は高齢出産とは全く思っていなくてワクワク。しかし、朝に破水が起こり病院へ。痛い陣痛に耐えながら夕方頃まで時間が経ちました。まだ生まれそうになく、その頃から少し頭痛が…。この辺から自分は記憶がありません。子癇発作になり救急車に乗ったそうです…。発作が起きた時は白目になっていて全身痙攣。口から泡を吹いていたと言われました。なんとか出産できそうだと判断されてそのまま吸引分娩をし、救急車で大きな病院へ運ばれました。自分が目を覚ましたのは夜中の2時頃で、いつのまにかお腹がへこんでいました。赤ちゃんに会えたのは2日後。自分が入院していた病院に母が赤ちゃんを連れてきてくれました。
 2人目は、40歳を超えると染色体異常の確率がかなり高くなると言われているので、不安な要素があるなら羊水検査なども考えようかと思っていました。が、エコーで大丈夫そうだったのと、たとえ障害があっても可愛い我が子として生まれてきてくれるからと思い、検査はせずに出産しました。2人目は帝王切開です。1人目の時に大変だったので、2人目はぜひ安全な帝王切開で生みたいと先生に頼みました。生まれる日も時間も決まっていたし手術開始から15分くらいで我が子の産声を聞くことができて本当に良かったです(1人目の時は聞けなかったので)。もちろん痕は残りますが、私は帝王切開はおすすめです。
 今は子どもの運動会とかで走るとキツかったり、遊ぶ時も見守ることが多いですが、出産でしんどさはあまり感じませんでした。
(40代/ひろひろ)


不妊検査で主人に原因が。女性はもちろん、男性側にも理解が必要だと思います。

 妊活前に、妊活セミナーに夫婦で2回ほど参加しましたが、まだ妊活を始めてない私達にはどこか他人事でした。私は不妊治療してまで子どもはほしくないから、タイミングでできなかったら諦めてと伝え、主人も納得して妊活を始めましたが、頭のどこかで妊活したらすぐ妊娠するだろうと安直に考えていました。体調管理アプリを利用し、自分達でタイミングを数ヶ月とりましたが妊娠に至らず、次は3ヶ月ほど排卵検査薬を使用してタイミングをとりましたが無理でした。結婚前にブライダルチェックをしておけばよかった!自分のせいで妊娠しないのだと、すごく心配になりました。その後、県から助成金が出ることをセミナーで知っていたので、不妊外来に行くことに。やはり不妊=女性のイメージがあったので、不妊検査は必ず夫婦2人で受けてくださいと言われ、信頼できました。
 2回目の検査で、主人に精子がほぼおらず、自然妊娠は不可で顕微授精しかないと伝えられました。主人はショックを受けていました。最初は不妊治療はしないと決めていましたが、治療しなければ手にすることができない赤ちゃんがとても遠く感じ、より子どもがほしい気持ちがわきました。その後、一度の顕微授精で妊娠しましたが、不妊にはとにかく男性の理解が必要だと思います。不妊なんて誰にでも起こりうることです。勝手に女性のせいにされがちですが、とにかくお互いが自分の体を知ることが大切で、それで余計なトラブルも減ると思います。また、教育現場や職場でももっと性に対して学べる場が必要だとも感じています。私は幸いにも職場に相談しながら不妊外来に通えました。本当に感謝しています。
(30代/まみっこ)