自分のカラダは自分で守ろう 受けよう!がん検診

2021_10_受けよう!がん検診

日本人の2人に1人が「がん」になるという現実

日本は2人に1人ががんを発症し、3人に1人が死亡するというがん大国です。
一方で、がんはもう不治の病ではなく、検診による早期発見・早期治療で、9割が治る時代でもあります。
しかし、国民のがんに関する知識は先進国の中でもとても乏しいのが実情で、基本的な知識の不足が、がんを必要以上に怖がることや、がん検診の受診率の低さにつながっていることが指摘されてきました。
がんに対抗するポイントは「がんのことを知る」そして「がん検診を受ける」ことです。
欧米に比べ検診の受診率が極端に低い日本では、各自の意識改革が急務と言えるかもしれません。


広島県のがんの現状

「がん」っていったい何?

 私たちのカラダはたくさんの細胞からできています。正常な細胞には周囲の状況に応じて、増えたり、逆に増えることをやめる機能が備わっています。例えば、皮膚の細胞はケガをすれば増殖して傷口をふさぎますが、傷口が治れば増殖をやめます。しかし、何らかの原因で遺伝子に傷がつくと、細胞は死ぬことができなくなり、際限なく増殖するようになります。この「死なない細胞」が、「がん細胞」です。健康な人のカラダでも毎日約5000個のがん細胞が発生していると言われていますが、免疫が働いてがん細胞を死滅させています。しかし、加齢などにより免疫機能が低下すると、がん細胞を死滅させることが難しくなり、「異常な細胞のかたまり=がん」となるのです。


■ 広島県の 「がん」の罹患状況

 広島県では、平成30年の1年間で22554人もの方が「がん」に罹患し、8346人の方が「がん」で亡くなりました。「がん」は年間死亡者数の3割近くを占めており、昭和54年以降、死因の第1位をキープし続けています。新型コロナウイルス感染症による死亡者数が令和2年4月24日~令和3年9月4日の約1年半で186人ですから、「がん」がいかに恐ろしい疾患かわかりますね。


Q:家族にがん患者がいたら、がんになりやすいってホント?
 「がん家系」という言葉がありますが、遺伝的要因で「がん」になるのは、罹患者全体の5%ほどと言われています。がんになる原因の多くは、生活習慣によるものと考えられており、皆様自身が健康的な生活を心がけ、努力されることでがんになる確率を下げることができます。

Q:太り気味、痩せ気味などでがんの発生率は違うの?
 がんを予防する生活習慣の1つに「適正なBMI※の維持」が挙げられます。女性の場合は21~25が適正なBMIとされており、肥満(26以上)・痩せすぎ(20以下)の両方ともがんのリスクを高める可能性が指摘されています。
※肥満度を表す国際的な指標で「体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)」で求められます。

Q:タバコを吸うとがんになりやすいってホント?
 喫煙というと肺がんのイメージがあるかもしれませんが、実は肺がんに限らず、「全てのがん」のリスクを上昇させることが科学的に明らかにされています。また、他人のタバコの煙を吸う受動喫煙によってもがんになるリスクは確実に高まりますので、こちらも注意が必要です。

Q:がん検診のお知らせが来たら健康に特に問題を感じていなくても行くべき?
 がん検診は「健康な方が対象」ですので、気になる症状が無くても、必ず定期的に受診してください。かつては「不治の病」と言われた「がん」も、早期発見で生存率が飛躍的に高まる時代になりました。ですが、早期がんにはほとんど初期症状がありませんので、定期的ながん検診によって見つけるしかないのです。


がん検診ってどんなことをするの?

 広島県では胃・肺・大腸・子宮頸・乳の5部位のがん検診をお勧めしています。胃がん検診ではバリウムを飲んでX線撮影を行う「胃X線検査」か、又は、口や鼻から内視鏡を入れて胃の内部を直接観察する「胃内視鏡検査」のどちらかを行います。肺がん検診は「胸部X線検査(いわゆるレントゲン検査)」と、喫煙者等のハイリスク者のみですが、痰をしらべる「喀痰細胞診」も行います。大腸がん検診では表面をこすりとった便を2日分提出し、便に混じっている血の量を測定する「便潜血検査(いわゆる検便)」を行います。子宮頸がん検診では専用のブラシで子宮頸部の細胞を採取する「細胞診検査」を行います。乳がん検診では乳房を2枚の板で挟みX線で撮影する「マンモグラフィ」を行います。いずれの部位においても、がん検診で早期に発見することで、生存率が飛躍的に高まりますので、必ず受診してください。受診にあたっては、職場やお住いの市町が検診費用を補助していることが多いので、後述のQRコードから自身の受診方法を確認することをお勧めします。

がん検診の部位と検査方法

がん検診の部位と検査方法


早期発見がんと進行後発見がんの5年相対生存率

早期発見がんと進行後発見がんの5年相対生存率


■ 広島県の「がん」対策

GO!がん検診

 広島県では「がんの予防・検診」、「がん医療」、「がんとの共生」という3つの柱で、がん対策に総合的に取り組んでいます。その中でも、今回のテーマである「がん検診」については、アーティストのデーモン閣下(悪魔)を「がん検診啓発特使」に任命するとともに、行政・医療関係者・医療保険者・民間企業・NPO法人等さまざまな立場の団体で構成される「『がん検診へ行こうよ』推進会議」を設立し、がん検診の普及啓発や受診率の向上に向けた取組を実施しています。


女性に知っておいてほしいこと

 女性に特有のがんである「乳がん」と「子宮頸がん」は、近年、若い世代の罹患者数が多くなってきており、「乳がん」は30代後半~40代、「子宮頸がん」は20代~30代の女性が増加しています。主に15歳~39歳の世代のことを、「Adolescent&Young Adult(思春期・若年成人)」の頭文字を取って、「AYA(アヤ)世代」と言います。AYA世代は、学校生活や就職、就労、結婚、妊娠、子育てなど、生活環境や社会環境が劇的に変化する時期であることが多く、がん患者さんやその家族の方が抱える悩みも特有のものがあります。特に不妊については、がん治療の影響で妊娠できる力(妊孕性:にんようせい)が失われることがあるので、治療前に卵子や受精卵を凍結しておく温存療法を受けるか考えておきましょう。広島県では、将来子どもを産み育てることを望む小児・AYA世代の患者さんが希望をもって治療に取り組めるよう、43歳未満の方を対象に妊孕性温存療法の費用を助成し、経済的負担の軽減を図るとともに、臨床データ等に基づく有効性・安全性の高い妊孕性温存療法の普及等に取り組んでいます。詳しくは「広島がんネット」に掲載していますので、ぜひご覧ください。


■ 広島県からのお知らせ

 がん検診は年齢・性別・保険証の種類やお住いの市町などによって、受診方法や負担額が異なります。このページをご覧いただいている方の中にも、ご自身がどのようにがん検診を受診できるのかわからない方も多いのではないでしょうか。そんなときは下記QRコードを読み取って、「広島県がん検診予約サポートサイト」にアクセスしてください。あなたのがん検診受診方法を確認することができます。また、広島県では、がん患者さんやそのご家族の方のみならず、広く県民の方が「がん」に関する正しい情報を入手できるよう、がん情報サポートサイト「広島がんネット」を開設しています。こちらもぜひチェックしてみてください。

広島県がん検診-予約サポートサイト-QR


広島がんネット-QR


「がん」は全ての人にとって身近な病気です。「がん」からあなたとあなたの大切な人の命を守るためには、日ごろから食生活の改善や運動による健康づくりなどを通じて、がんの予防に取り組むとともに、がん検診を定期的に受診し、早期発見・早期治療に努めることが大切です。予防と検診は、今からすぐに始められるがん対策です!
さぁ、さっそく始めましょう!


石村さん


【支援団体紹介】支え合える団体があります

県内には、がん患者とその家族、医療関係者などが共に支え合い支援することを目的にがんに関する情報交換会や勉強会、がん相談や普及啓発活動などを行っている団体があります。
今回はそのうち「NPO法人ひろしまピンクリボンプロジェクト」の活動をご紹介します。


● NPO法人ひろしまピンクリボンプロジェクト

乳がん患者の支援、一般女性への啓発のため
医療従事者が立ち上げたピンクリボン活動


乳がん告知後や治療中の方の支援を行うことにより患者さんのQOL向上を、また一般女性に対して乳がんに関する啓発活動を行うことで乳がんの早期発見を促し、女性が健康でいきいきと暮らせる社会になることを目指して活動。自由に立ち寄れる「まちなかリボンサロン」(現在はオンライン形式)は、治療の悩みや生活に関する不安を医療従事者に気軽に聞くことができ、患者さん同士の交流にもつながっています。また、乳がんのことを正しく理解してほしいとの思いで開催した「ひろしま乳がんアカデミア」は、昨年に続き今年もオンデマンドで配信予定です。この他、県内の高校、大学、企業で「がんを知る講座」も開催。乳がんに関するあらゆる質問を各分野の専門医が回答してくれる「乳がんいつでもなんでも相談室」サイトの開設など、コロナ禍でも精力的に活動中です。


代表者からメッセージ

我々の活動も、コロナ感染症により対面式の活動は昨年に引き続き制限されています。しかしそんな中でも「まちなかリボンサロン」は対面形式からオンライン形式に形を変えて引き続き開催されており、現在は40名から50名の参加者がおられます。また、「乳がんいつでもなんでも相談室」は変わらず多くの質問をいただいています。コロナ禍で社会活動の形態が変わりつつある中で、我々もピンクリボン活動の方法を模索していかなくてはならないと感じています。

角舎学行理事長


まちなかリボンサロン

▲毎回、乳腺外科の専門医や乳がん治療に従事する形成外科医、薬剤師、看護師などによるミニレクチャーもある「まちなかリボンサロン」。2021年1月からはオンライン形式となり、レクチャー後にはチャットによる質問コーナーやオンラインおしゃべり会も実施されています。


まちなかリボンサロン-今後のイベント予定


住所
呉市中通1-5-25
TEL
0823-24-7655
FAX
0823-21-2351
メール
info@pinkribbon-h.com
サイト
https://pinkribbon-h.com/


【体験談紹介】

がんは身近なもの。それを経験した方は、がん検診への意識も高まります。
下記はそんな読者の体験談です。どうか、あなたのがん検診受診のきっかけになりますように。


20代で要再検査。がんは無関係ではなくなりました。

 私の会社では2年に一度、希望者ががん検診を受けられます。まだ20代前半だった時に受けたその検診で、子宮頸がんが要再検査となりました。結果は子宮頸がんの前段階の状態で、その際、HPVワクチンを打ち、以来、年に一度受診を続けています。当時はまだ若く、がんは自分には無関係なことだと思っていましたが、検査結果が出てしまってからは、他人事ではないと思うようになり、がんについて調べたり、自分の身体や健康に関心をもつようになりました。がん検診は、市からクーポンが届くようになってからは、クーポンを使っています。私の場合、すぐに進行する訳でもないみたいなので、自費となると「お金がかかるならいいや…特に困ってることもないし」と思ってしまいそうですが、クーポンが届けば「そろそろ受けようかな」というきっかけにもなります。現在は温活に取り組むなど、経過観察だから、というよりは、自分の身体にとっていい事を、無理のない範囲で取り入れて生活しよう、という感じで過ごしています。
(Vivi/30代)



両親ががんを経験。以来、がん検診の大切さを痛感。

 私の両親は大の病院嫌いで、父は50代後半で大腸がん、母は50歳で乳がんになりました。当時、社会に現在ほどの「予防医療」の意識はなかったと思います。2人とも周りから強く言われて渋々受診し、当日すぐに入院となるほどの進行具合でした。父に至っては家族が呼ばれ「覚悟しておいてください」と言われたほどです。細々と商売をしていたので、入院後は収入もなく毎月の返済もしなくてはならず、退院しても仕事ができるほどの体力はありません。社会人になっていた私は何年も給料のほとんどを家に入れていました。数年後に乳がん手術をした母も、家族のために退院してすぐに仕事をしていました。とてもしんどかったと思います。早期に見つけていれば、もっと楽しく生活できたのになと思います。だからがん検診は、家族や周りの人が楽しく暮らせるために大切だと痛感してます。両親の件があったので、私は毎年、人間ドックを受けています。早期発見すれば家族への負担も軽くてすむ可能性が高いと思うからです。
(にゃほ/50代)




がん検診に関するアンケート

※「はたじょ」調べ
●調査期間/2021年9月1日〜9月7日 ●年齢/20〜29歳4.7%、30〜39歳39.5%、40〜49歳37.2%、50歳以上18.6%

アンケートQ1


アンケートQ2


アンケートQ3


アンケートQ4


アンケートQ5


アンケートQ6
●2人目の妊娠の時、子宮がん検診をした際、陽性でした。1人目の時も同じ検査をしましたがその時は陰性で、まだ1年しか経っていないのにがんが見つかって驚きました。
(さおり)

●友人ががんにより1年間近く入院していました。まだ手術などが必要のようで大変そうです。今までは他人事に思っていましたが、友人が患ったことにより身近に、また自分自身気をつけなければと感じました。
(mina.)

●母が乳がんになり、切除しました。数年前に再発するかもしれない期間を終えました。検診をちゃんと受けていたので、発見段階ではステージも低かったです。現在母は仕事もバリバリ、平日はジムにいって元気に過ごしてます。
(なつ)

●25、6歳の時立て続けに大学の友達が2人がんになりました。今は元気になったが、若くてもなるんだと思いました。
(なっちゃん)

●知人のお母さんが、がん保険に入っていなかったので、経済的に大変だったのを間近で見ていました。
(きのこ)

●50歳でのがん宣告はやはりショックでした。家族に心配をかけたくなくて、抗癌剤がきつくて仕事は休んだけど、早く家に帰ったら家族に心配をかけてしまうと思い、身体がしんどくて喫茶店で 夕方までボロボロ泣いていたのを思い出します。私より先に入院していた姑の退院を待って、抗癌剤がきつくて辛いことを舅姑に言った時、舅に「家族なんだからなんでも言わなきゃいけない」と言われ心が安らぎました。
(虎太郎ママ)

●乳がんのサバイバーの知人が3名います。年齢は色々ですが、みなさん仕事もバリバリで、結婚して子供がいらっしゃるのですが、あまりにも内へ抱え込みすぎて病気になられたと言っておられました。そういうことは自分では気が付きにくいものだと感じます。
(なおみ)

●同僚が若くしてがんになり、働きながら通院や、定期的な健診を受けていました。まわりには見せていませんでしたが、投薬など闘病生活は辛かったと思います。
(あた)

●子宮がん検診がいつも怖くて、必要性は分かっていても、なかなか足が向きません…。
(まえこ)

●義理の母が子宮がんになりました。一年ごとにがん検診を受けていたにもかかわらず、前年全く問題などがなかったのに、ほんの一年で全摘出、そしてリンパにも転移とかなり早いペースでの進行でした。女性の病気なので、義母は主人だと色々不安だったようで、入院の手続き、手術や入院中の着替えやお世話などをしました。同じ女性として、抗がん剤の副作用で髪の毛が抜けるのを目の当たりにして、とてもショックだったのをよく覚えています。
(ruki)