未来の広島を誇るべき街にするために〜ごみ問題は、わたしの問題だ。

2021_12_ごみ問題は、わたしの問題だ。

おうち時間の増加で、家庭ごみが増えたという声をよく耳にします。
ごみをいかにして減らすかは、SDGs全体にかかる問題でもあり
私たちの街のため、未来のために
一人ひとりが向き合わなければならない課題です。
2021年の終わりに、私たちはどんなマインドを持ち、
どんなアクションを起こせばいいのか、
今回は、広島市環境局
業務第一課の村本さん・片岡さんにお話を伺いました。


Q:広島市の家庭ごみの状況は?

平成25年度〜28年度まで年々減少傾向にあった広島市の家庭ごみ排出量ですが、近年は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた令和2年度を除いて、少しずつ増加しています。コロナ禍の令和2年度においては、事業ごみを含めたごみの総排出量は減っていますが、家庭ごみは不燃ごみ・資源ごみ・大型ごみなどほとんどの区分で排出増となりました。
広島市の1日当たりのごみ排出量は約978トンにもおよび、これはマツダスタジアムが約半月で満杯になる量です。そして、これらのごみ処理経費は1日当たり約3800万円、年間にすると約140億円にのぼります。マツダスタジアムの整備事業費が約144億円ですから、それに匹敵する税金が使われていることになるのです。
昭和51年から全国に先駆けて全市域で家庭ごみの5種類分別(平成16年からは8種類分別)を実施した広島市は、現在では、政令指定都市の1人1日当たりのごみ排出量が少ない方から4番目です。ですが、年間20万トンを超えるごみが家庭から排出され、膨大なコストが費やされている状況に、これまで以上のごみの減量、リサイクルの推進が求められています。ポイントは、「リサイクル可能な紙類」「食品ロス」の2点です。


家庭ごみの可燃ごみの内訳


3R(スリーアール)を実践しよう


Q:広島市の取り組み① 〜紙類のリサイクル〜

広島市が令和2年度に実施した組成分析によると、本来リサイクル可能な紙類が、家庭から出る可燃ごみの中に約9.6%(年間約1.3万トン)含まれていました。このため市では、リサイクル可能な紙類を資源ごみとして分別していただくことを呼びかけています。
紙ごみは、名刺大以上ならリサイクルできます。お菓子の空き箱やカレンダー、広告チラシをはじめ、ティッシュの空き箱もビニール部分をはがせば資源ごみになります。ダイレクトメールや封筒などは、個人情報の部分を黒塗りにするか切り取ってください。新聞紙やダンボールはそれぞれ紐で縛って分けますが、縛るのが難しい紙類は、封筒や紙袋に入れて出すことが可能です。ただし、宅配ピザの空き箱など汚れてしまったものはリサイクルできません。また、牛乳パック、写真、圧着はがき、感熱紙、ステッカー、シールなど、加工が施してある紙類も資源ごみではなく、可燃ごみとなります。このうち牛乳パックについては、スーパーマーケット等の店頭回収で出すことができます。
つい可燃ごみとして捨ててしまいがちな広告チラシなどのダイレクトメールは、1通約50gの重さがあります。家庭から出る可燃ごみに含まれる1人1日当たりのリサイクル可能な紙類は約30gなので、ダイレクトメール1通でも一人ひとりが資源ごみに出せば、市全体では大きな削減につながります。またこの時期、お勤めの会社で大掃除をされる方も多いと思います。リサイクル可能な紙類を可燃ごみにせず、資源ごみとして回収業者(※)に引き渡すことで、各事業者のごみ処理に係る経費削減にもつながるのではないでしょうか。

(※)広島市のホームページに「固形状一般廃棄物処理業許可業者一覧表」を掲載しています。


Q:広島市の取り組み② 〜食品ロス削減〜

広島市から排出される食品ロス(手つかず食品、食べ残し)は令和2年度で年間約2.5万トン、このうち家庭ごみからは年間約1万トンが発生していると推計されます。食品ロス削減のために、買い物時には必要な分だけ買うこと、料理時には食材を無駄なく使いきり、食べきれる量を調理すること、外食時には食べきれる量を注文することなどが求められています。
市では、市民団体、事業者、行政が主体となり、平成29年から食品ロス削減キャンペーン「スマイル!ひろしま」を展開中です。キャンペーンでは、毎月1日を「ごみ減らそうデー」としてスーパーマーケット店頭で啓発活動を、環境イベントでは家庭で余った食品を福祉団体等に寄付する「フードドライブ」を実施し、食品ロス削減イベントとして「スマイル!ひろしま広場」も開催していますが、これらはコロナ禍で自粛しています。この他、家庭で生ごみを堆肥化するコンポストの講習会やエコクッキング教室を市内の公民館で開催しています。
こうした中、今年10月からスタートしたのが「てまえどり運動」です。買ってすぐに食べる場合には、商品棚の手前に並べられている消費期限・賞味期限の近い商品を積極的に購入することで、食品ロスの削減につなげていくことができます。割引シールの貼られた商品を購入することも、家計に優しいだけでなく食品を廃棄することの減少につながっているのです。
日本の食品ロスの量は、平成30年度で年間約600万トン。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた支援食料の約1.4倍に相当します。今年は忘年会をされる方もいらっしゃると思いますが、ぜひ「3010運動」(※)を心がけ、「もったいない」の気持ちを忘れないようにしましょう。

(※)飲食店での会食や宴会時に、最初の30分と最後の10分は自分の席で食事をし、食べ残しを減らす運動です。


てまえどり運動ポップ
▲てまえどり運動ポップ


Q:私たち市民にできることって?

1月に起きた安佐南工場の火災は、リチウムイオン電池など発火の危険性があるごみが混入していた可能性が指摘されています。これにより長期にわたる工場の稼働停止や多くの修理費が必要となりました。しわ寄せは私たち市民に返ってきます。スプレー缶は中身を空にして資源ごみ、ライターは他の袋とは別にし「ライター」と書いて不燃ごみ、充電式小型家電は充電池を取り外してから大きさにより不燃ごみまたは大型ごみ、また取り外した充電池は有害ごみと、分別の仕方には十分注意してください。なお、小型家電は市内10か所でボックス回収(※)を行っています。
ごみは、ちょっとした心持ちで減らすことができるものです。自分のライフスタイルに合わせて自分ができることをするだけで、市全体としてはとても大きな成果につながります。私たちの未来の街のため、子どもたちが誇れる街のために、「ごみ問題」を「わたしの問題」として考えていくことが大切です。

(※)広島市のホームページに「小型家電リサイクル」のページがあります。


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広島市西部リサイクルプラザ

広島市西部リサイクルプラザは「物を大切に使う」「できるだけごみにしない」といった
市民全体の意識を高めていくことを目的にしている施設です。
今回はそんな施設を環境局 業務第一課の四辻さんに紹介してもらいました。


広島市では、紙類・ガラス類・金属類・布類の資源ごみを回収し、西部・北部の施設で選別等を行っています。このうち西区商工センターにあるのが「西部リサイクルプラザ」です。ここでは、安佐北区・安佐南区・東区(旧安芸町)以外の一般家庭から出された資源ごみを処理しています。1日の処理能力は約90トンで、1階にリサイクル品の展示を行う展示ホール、2階に選別ラインがあり、3階が研修室となっています。
物を大切に使うこと、できるだけごみにしないことを啓発していくのも、同施設の大きな役割。施設は見学もできるので、毎年多くの小学生が団体見学で訪れ、機械や手作業で資源ごみを選別する様子や選別ラインを間近に見ています。「正しく分別することの大切さを理解し、それを帰宅後にご家庭でも伝えていただくことで、リサイクルの輪が少しずつ広がればと思います。団体に限らず、資源ごみの分別について気になった方は時間内であればいつでもご覧いただけます」と四辻さん。
また、西部リサイクルプラザには、「シルバーリサイクルショップ」(※下記参照)が併設してあるのも特徴です。再生自転車やリフォーム衣類を販売し、お財布に優しいばかりか、地球にも優しいリサイクル品を購入できます。
なお、西部・北部の両施設では、一般家庭から出た資源ごみの自己搬入も無料で受け入れています。搬入できるのは左記のものです。

◦紙類(新聞、雑誌、チラシ、ダンボール、菓子箱など)
◦金属類(空き缶、一斗缶、フライパン、鍋など)
◦布類(古着、カーテン、シーツ、布製かばんなど)
◦ガラス類(酒、酢、醤油瓶、ビール瓶、ウイスキー瓶、ガラスコップ、割れた瓶、ガラスくず、化粧品の瓶※乳白色及びマニキュアを除く)

自己搬入やシルバーリサイクルショップに立ち寄った際には、ぜひ施設内の見学もしてみてください。そして大掃除などでごみと関わる機会が多いこの時期に、今一度リサイクルについて考えてみてください。私たち市民一人ひとりが少しずつ意識を高めることで、広島の街は未来の子どもたちが誇れる街になっていくはずです。


団体見学での1階展示ホール(エコ製品コーナー)案内風景
▲団体見学での1階展示ホール(エコ製品コーナー)案内風景。団体見学では、施設全体の見学をプラザスタッフが案内してくれます。


選別作業は手作業
▲選別作業は手作業で行っているため、市民一人ひとりの分別がとても大切になってきます。


個人でも団体でも施設の見学ができます

西部リサイクルプラザでは、施設見学が可能です。個人見学者の方はいつでも来館し、自由に見学できます。団体見学者の方は電話による予約が必要で、150名まで受け入れることができます。団体の場合、ビデオ鑑賞やライン見学、エコ製品コーナー見学、自転車再生室見学などが盛り込まれ、所要時間は約1時間〜1時間30分です。なお、北部資源選別センターも施設見学ができますが、予約先は西部リサイクルプラザとなります。

●開館時間/9:00〜17:00(入館は16:30まで)
●入館料/無料
●問い合わせ/082-501-2600(西部リサイクルプラザ)


▼ 担当者より

現場では手作業で資源ごみを選別しています。ですからきちんと分別されていないと、作業も大変になり、なにより怪我の危険性が高まってしまいます。カミソリや小型家電の混入といったケースがあり、リチウムイオン電池は発火のおそれもあります。自分だけなら…は小さなことかもしれませんが、それが集まってくると大きな問題になることを、日頃から意識していただければありがたいです。


シルバーリサイクルショップのご案内
西部リサイクルプラザ内には、広島市シルバー人材センターが運営する「シルバーリサイクルショップ」があります。ここでは、リサイクル衣服、再生自転車、手づくり小物の販売の他、「捨てるにはもったいない服」の引き取り(持ち込みは1回20点まで)も行っています。なお、再生自転車は人気のため、事前に在庫の有無を電話確認しておくのがオススメです。
市内で撤去された自転車
▲市内で撤去された自転車のうち、持ち主が現れなかったものを、組み立て整備し直して販売しています。価格は1台6,250円です。
Tel:080-5610-7062
■販売時間/9:30~16:30
※営業日は原則、プラザの開館日どおりですが、プラザの開館日であっても営業しない日もあります。
※受け入れ可能な衣服は、下着や寝間着、靴下を除く衣服で、洗濯もしくはクリーニング済みで、破れや汚れのないもの。




西部リサイクルプラザ
西部リサイクルプラザ
広島市西区商工センター7-7-2
Tel:082-501-2600(西部リサイクルプラザ管理事務所)
■開館時間/9:00~17:00(入館は16:30まで)
■休館日/土曜・祝日の翌日(日曜にあたる場合は翌月曜)・8/6・年末年始(12/29~1/3)
北部資源選別センター
北部資源選別センター
広島市安佐北区安佐町大字筒瀬864
Tel:082-838-2667
■搬入時間(両施設共通)/月曜〜金曜8:30~17:00(年末年始を除く)




食品ロスを削減できる「とっておきレシピ」
ついつい捨ててしまいがちな野菜の皮、根、葉や、
余ってしまった料理をアレンジして家庭内食品ロスを目指しましょう。
今回は、かるがもカルチャースクールの瀬川先生に
とっておきのレシピを教えてもらいました。


食品ロスを削減するポイントは、捨てないことです。例えばピーマンの種も中綿も野菜炒めにしてしまえば全く気にならないで食べ切ることができます。トマトやかぼちゃも器にしてしまえば皮ごとお洒落にいただくことができます。こうした、皮ごといただくまるごと調理は、栄養が摂れて生ごみも減って、いいことだらけです。また、野菜の茎や根など固い部分は、酢漬け、醤油漬けなどにしておくと保存もできて調味料になります。さらに、冷凍保存をすることによって、美味しくなる野菜もあります。例えば玉ねぎ。刻んで冷凍しておくことによって繊維が壊れて水分が抜け、甘くなり、火通りも良くなります。
こうした「ひとてま」は、捨てない知恵であり、食材や生産者への敬意の表れです。工夫することでストーリーが生まれ、食べる人の心に残る一品になっていくのではないでしょうか。


#01 野菜まるごとロール鍋

野菜まるごとロール鍋

● 材料(2人分)

・季節の野菜(葉野菜、根菜類)…適量
・肉類…各適量
○調味料
・片栗粉…少々
・塩胡椒…少々
・水…1〜2ℓ


● 作り方

① 季節の葉野菜は洗って水気をきり、3センチ幅に切る。 根菜類の場合は皮ごと洗い、茎などの固い部分も全て細切りする。
② お肉を広げて塩胡椒と片栗粉を全体にふる。
③ お肉の上に①をお好みでのせて巻く。
④ 土鍋に水を入れて加熱し、沸騰したら火を弱めて③を立てて敷き詰めて煮込む。
⑤ 全体に火が通ったらポン酢などお好みの味でいただく。


調理のコツ♪

根菜などの固い野菜は、電子レンジにかけて柔らかくしておくと鍋で煮込む時間が短縮できます。


#02 ねぎチャーハン

ねぎチャーハン

● 材料(2人分)

・冷やご飯…2膳分
・人参…適量
・卵…1個
・塩…少々
・ごま油…少々
○ねぎの醤油漬け
・余ったねぎ(白ねぎ、青ねぎ)…適量
・醤油とみりん…1:1


● 作り方

① ねぎを刻んで保存容器に入れ、醤油とみりんを加えて10分以上置いておく。冷やご飯は電子レンジで温めておく。
② 人参を食べやすい大きさに切る。
③ フライパンを熱し、ごま油をしいて卵を割入れ、箸でぐちゃぐちゃに混ぜて焼き、取り出しておく。
④ 同じフライパンで②の固い野菜を炒め、しんなりしたら醤油に漬けておいたねぎを加えて焼く(焦げないように火加減を調整する)。
⑤ 温めておいたご飯を加えてほぐし、炒める。
⑥ 取り出しておいた卵を戻し入れて混ぜ、塩とねぎを漬けておいた醤油を少々加えて味を整える。


調理のコツ♪

作った醤油は冷蔵で1週間は保存できます。野菜炒めなど、風味豊かなお醤油として幅広く使えます。



瀬川恵理子さん


名称
かるがもカルチャースクール
住所
広島市安佐北区可部3-4-1-2F
TEL
082-819-0096
ホームページ
Karugamo カルチャースクール
インスタグラム
karugamo.culture.school