松井広島市長からのメッセージ 〜2022年の広島。〜

2022_01_2022年の広島

引き続きコロナ禍一色となった2021年。
そうした中でも、各個人が、企業が、団体が、
それぞれに工夫を凝らし
直面する課題と向き合いました。
それは広島市という街も例外ではありません。
今回は、昨年に続き松井一實広島市長に
2021年の振り返りと
2022年をいきいきと過ごしていくための
力強いメッセージをいただきました。


Q1:2021年の広島市を総括すると?

2021年は、前年から引き続き、新型コロナウイルス感染症が市民生活に大きな影響を与えてきました。特に、感染拡大に伴い緊急事態宣言が出された時期は、医療現場がひっ迫するとともに、各種イベントが中止・延期となり、市民の皆様も不安な気持ちで日々生活されてきたと思います。そうした中で、ワクチン接種が順調に進んだこともあり、年末には感染状況も落ち着きました。ワクチン接種を含め、感染対策に協力いただいている市民の皆様をはじめ、関係者の皆様に、心より感謝を申し上げます。
こうしたコロナ禍を通じて、多くの人が、人との交流が我々の日常生活を支え、また、共に助け合うことによって困難を乗り切ることができるということを実感されたのではないでしょうか。人との交流と助け合いは、平時においても大切なものであり、地域で安心して暮らしていくためには不可欠なものです。「共助の精神」を地域に根付かせ、住民主体の共助の取組を推進することにより、持続可能な地域社会の実現を目指していく必要があるという思いを強くしました。
一方、夏には、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催され、アスリートの活躍に感動した人も多かったと思います。本市もホストタウンとして、ベルギーやメキシコの事前合宿を受け入れました。コロナ禍の影響により、当初予定していたような市民との交流ができなかったのは大変残念でしたが、こうしたスポーツや文化・芸術は、私たちの暮らしを豊かにするとともに、国や地域の垣根を越えるものであり、世界中の人々が平和を願う気持ちにも通じるものであると思っています。そのような思いの下、本市は、スポーツや文化・芸術を通じて、市民一人一人が日常生活の中で平和について考え行動する「平和文化」の振興に取り組んでおり、新たに11月を平和文化月間と位置付け、様々な取組を集中的に行うこととしました。昨年は、平和文化を広島にしっかりと根付かせ、発信することにより、日本中、更には世界中に平和への思いを広めるための始まりの年だったと思います。


Q2:どうなる?広島市のまちづくり

本市では、「ひろしま都心活性化プラン」において、広島駅周辺地区と紙屋町・八丁堀地区を都心の東西の核と位置づけ、都市機能の集積・強化を図ることにより、相互に刺激し高め合う「楕円形の都市づくり」を進めています。
東の核であり、陸の玄関口である広島駅周辺地区では、再開発ビルが完成するとともに、広島高速5号線の整備(令和6年度全線完成予定)が進んでいます。その中心となる広島駅については、今後とも、広域的な交通結節点としての機能を強化していく必要があります。このため、現在、広島駅南口広場の再整備を進めており、令和7年春には新駅ビルの開業にあわせ、広島駅からの路面電車のルートを新設し、令和8年度末には、ペディストリアンデッキ、バス・タクシー・マイカーエリアが完成する予定です。
また、これまで民間事業者による開発に力点をおいてきましたが、西の核である紙屋町・八丁堀地区とは異なる特色を有するまちづくりを進めることにより、バランスのとれた都心づくりを進めたいと考えています。このような観点から、中央公園内の公共施設の集約化等の検討をする中で、文化交流施設である広島市中央図書館、こども図書館、映像文化ライブラリーをエールエールA館に移転・集約することにしました。
次に、西の核である紙屋町・八丁堀地区では、令和4年度末に民間活力を活用した旧広島市民球場跡地イベント広場、令和6年にサッカースタジアムの供用開始を予定しています。また、都心活性化のリーディングプロジェクトとして、本市も地権者の一員である、基町相生通地区第一種市街地再開発事業を推進しており、令和9年度には地上31階建て、高さ約160mの高層棟が竣工する予定です。これらの公的・官民連携のプロジェクトを着実に進め、民間投資も呼び込みながら、中四国最大の業務・商業の集積地にふさわしい街並みを実現したいと考えています。
また、都市機能の充実強化を図るためには、こうしたハード面だけではなく、ソフト面の取組を併せて進めることが重要です。令和3年4月には、「ひろしま都心活性化プラン」の実現に向け、都心のエリアマネジメント団体を支援する新たな組織として、経済界が中心となって「広島都心会議」が設立されました。現在、都心では、様々なエリアマネジメント団体が特色のあるまちづくり活動を展開しています。本市も「広島都心会議」と連携し、「自分たちのまちは自分たちで創る」という考えの下で行われるこうしたエリアマネジメント活動を、積極的に後押ししていきたいと考えています。
こうしたハード面、ソフト面の取組を着実に推進し、都心の回遊性を強化することにより、広島ならではの「平和文化」を感じながら気軽に散策できる空間づくりを進め、本市が目指す都市像である「国際平和文化都市」にふさわしいまちにしていきたいと考えています。


Q3:広島市のSDGsへの取り組みは?

本市は「持続可能なまちづくり」をコンセプトに、「世界に輝く平和のまち」、「国際的に開かれた活力あるまち」、「文化が息づき豊かな人間性を育むまち」の3つの柱の下、様々な施策に取り組んでおり、SDGsが目指す持続可能な社会の実現と方向性は同じです。このため、本市のあらゆる施策が、SDGsの達成にも資すると考えています。
例えば、本市では、間伐材から生産した薪をクアハウス湯の山のボイラーの燃料として使用することにし、森林資源を有効活用するだけでなく、地域に根差した産業を生み出し、地域に新たな雇用を作り出しています。また、商品棚手前の消費期限・賞味期限が近い商品や値引き商品を積極的に選ぶという「てまえどり運動」を市民、事業者、行政が一緒になって展開中です。こうした取組は、本市の持続可能なまちづくりに資するものであり、同時に、SDGsが目指す経済や社会、環境などの課題の解決にもつながるものです。
また、SDGsの推進に当たっては、本市のみならず、世界中の都市と一緒に取り組んでいくことも重要であると考えています。そのため、私が会長を務め、世界の8000を超える都市が参加する平和首長会議では、本年7月に策定した新たなビジョンであるPXビジョンにおいて、SDGsの遂行により、持続可能な地球・社会への貢献を果たすことを目指すこととしており、今後とも、世界の都市と共に地域の実情に沿った主体的な活動を展開していきたいと考えています。


Q4:女性がいきいきと働ける取り組みは?

女性があらゆる分野でいきいきと活躍できる社会を実現するためには、「ワーク・ライフ・バランス」すなわち、労働やプライベートな時間のバランスを自分の価値観やライフスタイルの変化に応じて調整できるようにするとともに、持っている潜在的な能力を引き出し、それを十分に発揮できるようにする必要があると考えています。
昨今、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大下にあって、テレワークの導入やオンラインの活用が進み、多様で柔軟な働き方や暮らし方の意識に変化が見えたことは、「ワーク・ライフ・バランス」に向けての一つの転換があったと捉えています。
こうした中で、働く場において女性が生き生きと活躍するためには、持っている潜在的な能力を引き出し、それを十分に発揮することが益々重要になってきています。そこで、女性の潜在的な能力を引き出すための一助として、女性活躍に関するセミナーや講演会を実施してきていますが、その能力を十分発揮していくためには、本人の意欲とともに発揮を可能にする職場環境の整備が不可欠です。本市としては、こうした視点に立って、女性活躍の推進に向けて積極的に取り組んでいる企業や、男性の育児休業等取得など働き方改革に積極的に取り組んでいる企業を表彰する「広島市男女共同参画推進事業者表彰」制度を設けるとともに、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定の支援を行うことにより、多様で柔軟な働き方ができる職場環境の整備に向けた、個々の企業等における積極的な取組を促しています。


新型コロナ感染拡大の防止と
経済活動の活性化の両立を図り
にぎわい溢れる助け合いのまちへ


Q5:2022年、明るく日々を過ごすためのメッセージを!

昨年末にかけて、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み感染者の減少が見られたものの、新たな変異株の影響も懸念されることから、気を緩めることなく感染状況を注視しながら、引き続き、感染拡大の防止と経済活動の活性化の両立を図っていきます。
2022年のまちづくりに関しては、広島駅周辺地区において、JR西日本の駅ビルの建て替えと、南口広場の再整備等に向けた工事を進めていきます。中央公園においては、サッカースタジアムや旧広島市民球場跡地の整備に着工するとともに、広島城三の丸のにぎわいづくりにも着手することとしており、新しく生まれ変わるまちの一端を皆様に見ていただけるようになります。こうした都心部のまちづくりと並行して、芸備線など鉄路の活性化や瀬戸内海の海路の振興によって、近隣市町との連携を強めながら、広島内外の人が集い交流し、にぎわうまちを目指します。
また、8月には、「第1回ひろしま国際平和文化祭」を開催します。市民や国内外から訪れる人々が、様々な音楽・芸術作品などの魅力に触れ、広島や平和への理解を深め共感を生むような文化芸術活動を創り出していきますので、市民の皆様にもぜひ参加していただきたいと思います。
2022年の干支は寅(とら)です。いかなる困難にも前向きで強い信念を持って積極果敢にトライする年にしたいと思っています。


松井市長






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