共に生きるために 考えよう。保護動物と私。

2022_10_考えよう。保護動物と私。

一般社団法人ペットフード協会が
2021年に行なった調査によれば、
現在国内で飼われている犬は710万6千頭、
猫は894万6千頭。コロナ禍により新たに飼われる頭数も
犬・猫ともに増加傾向にあるとされ、
いまやペットは家族同然と考える方も多くなりました。
一方で、野良犬・野良猫や
飼い主から飼うことを放棄された犬・猫がいます。
こうした現状を解決するため、
人間と動物が共生できる社会のために、
私たちが知っておくべきこと、
行動できることはあるのでしょうか。
今回は、広島県動物愛護センターの
中村満所長にお話しを伺いました。


広島県動物愛護センター所長-中村満さん


広島県の保護動物の現状

広島県動物愛護センターが開設した昭和55年当初は毎年2万頭を超える犬猫を収容していましたが、行政による保護作業に加え地域の方々の協力もあり、令和3年度は約1400頭と大幅に減少しています。しかし、犬猫の収容頭数は全国的に見ると上位になります。広島県は気候も温暖なことに加え、野良犬・野良猫が可哀そうだからと思って無責任にエサだけをあげてしまう人の存在もその理由として挙げられます。保護・引取の内訳については、平成25年の改正動物愛護管理法により終生飼養の原則に反する場合は拒否できるようになったため、近年は収容した犬猫の8割以上が野良犬・野良猫となっています。


保護・引取頭数の推移


改正動物愛護法って?

動物取扱業のさらなる適正化と動物の不適切な取扱いへの対応強化のため、令和元年6月「改正動物愛護法」が公布され、段階的に施行されています。主な改正内容ですが、まずペットショップなど第一種動物取扱業の飼養施設の構造や規模、環境の管理、繁殖の方法などの基準が具体化され、生後56日(8週)未満の犬猫は販売禁止となりました。また飼い主など所有者に対しても不適正な飼養には勧告や立ち入り検査が可能となり、適切な飼養ができない場合は不妊去勢手術等の繁殖防止が義務化されています。所有者不明の犬猫の引取りについても周辺の生活環境を損なわない場合においては引取りを拒否することができることとなりました。このため、当センターでは引取りを求められた場合、ケガや病気で弱った犬猫や親とはぐれた乳のみの犬猫を除き、現状を詳しく聞取りした上で、引取りを拒否することがあります。この他、動物虐待に対する罰則の引き上げや獣医師による虐待の通報の義務化、殺処分の指針など、これまで以上の動物の愛護と適正な管理が求められています。なお、当センターでは平成28年度以降、治癒の見込みのない病気や攻撃性があるなどの理由による薬物の注射での安楽死処分を除き処分機による殺処分は行っていません。


譲渡に適切と判断された犬・猫は…


マイクロチップの義務化

「改正動物愛護法」により、令和4年6月から犬・猫についてマイクロチップの装着も義務化されました。つまり、現在ペットショップ等で購入した犬や猫にはマイクロチップが装着されており、飼い主になる際にはご自身の情報に変更登録する必要があります。当センターで譲渡する犬・猫にもマイクロチップが装着されています。なお、以前から飼っている犬・猫についての装着は努力義務です。装着は獣医師(動物病院)が行ないます。マイクロチップを入れることで、迷子・事故で飼い主と離ればなれになってしまった際に、専用リーダーで読み取ることで飼い主の情報を確認できます。また、自治体によっては狂犬病予防法の登録を兼ねるワンストップサービスもスタートしています。チップは非常に小さい円筒形で、装着による害も20年以上の間ほとんど報告されていません。


動物舎


地域猫活動って?

地域住民が主体となり、地域にいる野良猫の不妊去勢手術を行ない、餌やりや糞の始末などのルールを定め、地域で野良猫を適切に管理していく活動です。野良猫によるトラブルを減らすとともに、不幸な野良猫の数を減らし、野良猫を迷惑だと思う人と不幸な野良猫を減らしたいと思う人が一緒になって住みよい地域にしていきます。当センターでは不妊去勢手術などそのための協力を行なっており、広島・呉・福山を除く管轄内で年間500頭の手術を実施しています。また、地域猫活動が難しい地域では、「TNR」と呼ばれる野良猫を捕まえ不妊手術を施し元の場所に戻すという活動を愛護団体などが行なっている場合もあります。手術を受けた猫は耳がカットされているのが目印です。


飼う前に考えよう

まずは本当に飼えるかかどうかを考えましょう。ペットを飼える住宅(猫は完全室内飼育が理想です)かどうかはもちろん、ペットを飼うにはかなりの費用がかかります。飼いたい動物の特性や飼育に必要な環境について調べることも問題行動の予防や近隣トラブルの予防につながります。小さなお子さんがいる場合、情操教育には良くても感染症の可能性も考えないといけません。飼い始めた後で家族に動物アレルギーが出ることもよくあるケースです。また、万が一飼えなくなった時に備え、世話をしてくれる人を見つけておくことも大切です。かわいそうだと野良猫に餌を与えて繁殖させてしまい、自身が入院や施設に入り不幸な猫を増やしてしまう高齢者の例もあります。〝飼うなら一生〟です。愛情と責任を持ってください。


犬・猫の譲渡について

当センターでは、保護した犬・猫の譲渡を行なっています。希望する方は、適正に飼うために必要な知識を学んでいただくための譲渡講習会を事前に受講する必要があります。講習会は祝日を除く毎週月・水・金曜と、イベント時を除く毎月第3日曜に開催しています。受講後、気に入った犬・猫がいればそのまま当日の譲渡が可能です。また受講済証をお渡しするので後日来館いただくこともできます。譲渡可能な犬・猫は当センターのHPにも随時掲載しています。なお、福山や県外など当センターの管轄外で講習会を受講した場合でも、その受講済証があれば当センターでの譲渡が可能です。終生大切に育てていただける飼い主をお待ちしています。

※65歳以上の方は事前に同意書の提出が必要です。


私たちにもできること

飼う方にお願いするのは適正な飼養です。例えば犬の飼い主さんであれば「犬が吠えるのが当たり前」と考えるでしょうが、それが近隣の迷惑となるのであれば「しつけ」をすることが必要です。猫の飼い主さんであれば「猫が外に出たがっているから自由に家から出入りさせても構わない」と考えるでしょうが、それが近隣の迷惑となるのであれば「室内飼い」をすることが必要です。一方、犬猫の飼養の有無にかかわらず野良犬・野良猫へ無責任なエサやりは絶対にやめていただきたいことです。犬や猫は繁殖能力が高くエサがあれば爆発的に増え、それが糞尿被害やゴミ問題、事故、感染症などにつながりかねません。結果、不幸な犬・猫を増やしているのです。人間と動物が共生する社会の実現には、まず私たち人間が責任と愛情ある行動を取ることが求められています。


▼ 広島県動物愛護センターでの各教室の紹介

動物愛護館
▲講習などを行なう動物愛護館


動物愛護教室-QR
◎動物愛護教室

動物愛護センターに収容される動物たちのことを知り、収容動物の数を減らすために自分たちに何ができるか考えることを通して、命の尊さやすべての命に対する慈しみの心を育むことを目的に、「「命」を考える動物愛護教室」と「動物愛護教室」を開催しています。


犬の飼い主向け教室-QR
◎犬の飼い主向け教室

適正飼養や終生飼養など飼い主の負担と責任についての普及啓発の一環として、生後6か月までの子犬の飼い主を対象とした「子犬のしつけ方教室」、全年齢の健康な犬が参加できる「わんこと飼い主のための暮らし方セミナー」を開催しています。


ペット防災セミナー-QR
◎ペット防災セミナー

災害はいつどこで起きるかわかりません。万が一被災した時、大切な飼い犬・猫を守ることができるよう、どんな準備をしたらいいのかを学ぶセミナーです。災害発生時の心得や平常時に飼い主が行うべき対策、センターのモデル犬と一緒に避難訓練を行ないます。


▼ 広島県内の動物愛護センターの問い合わせ先

※広島市・呉市・福山市でいなくなった犬・猫、その他の問い合わせは各市の動物愛護センターとなります。


広島県動物愛護センター
TEL.0848-86-6511
(三原市本郷町南方8915-2)
広島市動物愛護センター
TEL.082-243-6058
呉市動物愛護センター
TEL.0823-70-3711
福山市動物愛護センター
TEL.084-970-1201

★広島県動物愛護センターでは、皆様からご寄附いただいた毛布やバスタオルを、動物たちの部屋に使用させていただいています。不要な毛布やバスタオル、タオルケット等ありましたら、寄附の受付についてのページ(二次元コード)から申込書をご記入いただき、申込書と共にご郵送いただくか、センターまでお持ち込みください。
寄附の受付-QR


保護動物のために活動する団体
保護や譲渡の活動を通じ、
人と動物との共生を目指す団体があります。
ペットを迎えたい、
経済的な支援で動物保護に協力したいという方は
こうしたボランティア団体への
問い合わせも検討してみてください。


みなしご救援隊犬猫譲渡センター

みなしご救援隊犬猫譲渡センター
殺処分0を目指し、人間の都合で飼えなくなった犬猫を保護し、新しい飼い主を探す活動をしています。里親探しのスペースとして、広島本部では常時50〜100頭の犬・猫・小動物と直接触れあうことが可能。また、里親が決まるまでの飼育を以外にも、里親募集が困難な犬猫の終生飼育や、地域猫活動なども行なっています。この他、犬猫の飼育・しつけ等の相談にものってくれます。


名称
みなしご救援隊 犬猫譲渡センター
住所
広島本部/広島市安佐北区可部1-1-17
TEL
082-205-1155
営業時間
施設見学は水曜以外毎日11:30~17:00
定休日
水曜(祝日の場合もお休み)
ホームページ
NPO法人 みなしご救援隊 犬猫譲渡センター

譲渡会情報

■譲渡受付(模擬飼育・里親希望の申込)/土日祝日11:30~17:00
■見学のみ/水曜を除く毎日11:30~17:00
※湯来第2シェルター(佐伯区湯来町大字伏谷1462)の見学は要事前連絡

・里親募集中の犬・猫はHPから確認できます。
・面接・手続き後に2週間〜2ヶ月間の模擬飼育を行なっていただきます。
・譲渡決定時に、1口1万円〜の寄付をお願いしています。


ピースワンコ・ジャパン 広島譲渡センター

ピースワンコ・ジャパン-広島譲渡センター
元飼い犬や元野犬など殺処分対象の犬を保護し、検疫施設で健康管理を行なった後、人馴れや散歩の練習を実行。マリーナホップ内にある広島譲渡センターで里親を探すのはそんな保護犬たちです。ここでは、家族を募集する準備が整った約15頭が在籍し、毎日お迎えを待っています。里親希望者からも希望やライフスタイルを丁寧に聞き、人も犬も幸せになれるようご縁をつないでくれます。


名称
ピースワンコ・ジャパン 広島譲渡センター
住所
広島市西区観音新町4-14
広島マリーナホップ内
TEL
082-292-8525
営業時間
10:00~18:00
定休日
マリーナホップ休館日
ホームページ
ピースワンコ・ジャパン
Instagram
@pwj_hiroshima

譲渡会情報

■定期的に譲渡会を開催しています。
シェルターの犬約15頭、他団体の猫も多数参加する「いぬねこ大譲渡会」や「mini譲渡会」、インスタライブで「オンライン譲渡会」も行なっています。
※神石高原シェルター(神石高原町上豊松72-8)の里親希望・施設見学は要事前連絡
※ドッグランは10:00~17:00

・里親募集中の犬はHPから確認できます。
・見学や相談などセンターで受け付けてくれるので気軽に訪ねてみてください。
・3万円もしくは5万円を譲渡費用としていただきます。


Cat Cafe ねこごこち

Cat-Cafe-ねこごこち
「ねこもひとも居心地のいい空間を」をコンセプトに、2016年オープン。広島の猫カフェでは初となる保護猫のみのお店です。自宅にいるような雰囲気の中、ソファでくつろいだり本を読みながら猫と過ごせます。また、随時里親募集も行なっていて、相談→お見合い→トライアル(1〜2週間程度)→正式譲渡→事後報告のステップで譲渡も可能。人懐っこかったり人見知りが激しかったり、色々な性格の猫たちが新しい飼い主を待っています。


料 金

■はじめの30分…800円
■はじめの1時間…1,100円
■以降30分毎に…500円

■ねこのおやつ…300円
■ドリンクバー…400円
■2時間パック/3時間パックあり
※猫の抱っこ禁止などの注意事項があります。事前にHPでご確認ください。


名称
Cat Cafe ねこごこち
住所
広島市中区本川町1-1-27-2F
TEL
090-2805-2993
営業時間
11:00~21:00(最終入店20:00)
定休日
月曜、水曜
ホームページ
Cat Cafe ねこごこち


動物のお医者さん

konomi動物病院

konomi動物病院
常に最善を尽くし、
飼い主様のどんなご相談にも応えられる
街の中核病院を目指しています。

開院して4年の明るく清潔感のある「konomi動物病院」。山口、大阪、横浜等で経験を積んだ実績のある院長が診察にあたります。日々最新の治療を提供できる様、設備や取り組みは他院にはない最新のものを揃え、ペットの安全と飼い主の安心を叶えます。
栗尾雄三院長

見落としのない診療と 最適な治療の提供

ペットは人の言葉を話すことができません。そのため、診察では飼い主様とのコミュニケーションを大切にします。しかし、飼い主様の目の届かない場所で起きたことが原因である場合、飼い主様とのお話の中だけでは適切な診断ができないこともあります。ですから、動物の些細な表情や動作の違和感にも目を向け、念入りに検査を行ない、明確な原因がわかった状態で適切な治療を進めています。誤診は最も悔いのでる行ないです。たとえ治せない病気であったとしても、確実に見つけて、それを適切にお伝えすることを意識しています。


緊急時の対応とLINEを使った情報提供

当院は院長宅併用の診療施設のため、長時間の動物管理が可能です。基本診察は19時30分迄ですが、時間外についてもできる限りの対応をしています。毎日というわけにはいきませんが、緊急時などはお一人で悩まれず、まずは当院に連絡をいただければと思います。また、入院中やペットホテルの利用中は、LINEを通して、ペットの様子を写真や動画でお届けしています。飼い主様に安心していただくと同時に、動物たちの些細な変化にも気付けるよう、こまめに様子を確認することを心掛けています。


皆様の好みに寄り添う、動物医療に限らない様々な取り組み

当院では、動物用ICUや早期発見・早期治療に繋がるCT検査機器など、最新設備による治療が行えるだけでなく、動物介護やお預かり、シャンプー・トリミングなど飼い主様とそのペットに寄り添う様々な取り組みを行なっています。中でもトリミングは1〜2カ月予約が取れなくなるくらいご好評をいただいています。除菌・消臭効果に優れているオゾンシャワーをはじめ、艶のある毛並みを実現させるハーブパック、美容効果の高いましゅまろはちみつ泡パックなどの、ペットも飼い主様もご満足いただける豊富なサービスもご用意しています。また、飼い主様のサポートがないと飼うことができなくなってしまったペットと飼い主様のためのサービスとして、老犬介護にも力を入れていきたいと思っています。その他、避妊去勢手術や里親の募集などもございますので、ペットのことでお悩みの際は、何でもご相談ください。

私たちは、良質な動物医療で、より多くのペットの安全、飼い主様の安心を叶えていきたいと思っています。今回、本誌に掲載していただいたのは明確な目的があります。それはこれを読んで来院していただける飼い主様に出会うことです。すぐでなくても構いません。愛犬や愛猫の体調に異変を感じたときに、少しでも当院のことを思い返していただけると嬉しいです。ぜひ本誌を見ましたとスタッフにお伝えください。そのようなメッセージを心待ちにしています。


外科・内科全般の治療に対応
▲外科・内科全般の治療に対応しています。ペットの健康のことで悩んだら気軽に相談を。


動物用ICU
▲動物用ICUは集中治療が必要な場合に酸素化して体の負担を軽減するために導入しています。緊急の場合や侵襲度の高い手術には必須になります。


住 所
広島市東区温品5-2-4(温品通り)
電話番号
082-516-8030
診療時間
日曜〜金曜 9:00〜12:30/16:00〜19:30
定休日
火曜午後・土曜(予約診療可)
※休診日もシャンプー・トリミング・ペットホテルは受付可能
※時間外の受付は犬・猫・ウサギのみ
※夜間診察受付時間は火曜・土曜を除く19:30~25:00
駐車場
6台
院長常駐で安心のペットクリニック