知る!感じる!食べてみる!もっと身近に!ひろしまの農業

この記事は2024年2月26日に作成および更新したものです。
おでかけやご利用の際は公式サイト等で最新情報を確認してください。
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高齢化による農業人口の減少、
耕作放棄地の増加など、
多くの課題を抱える日本の農業。
一方、ロボット、AI、IoTなど
先端技術を活用した
スマート農業の取り組みも進んでいます。

そんな中、住宅関連事業の
トータテホールディングスでは
「もっと農業を身近に感じてほしい」との思いから、
2023年スマート体験農園アプリをリリース。

今回は、開発の背景や広島の農業への思いを
同社経営企画室の大里さんに伺い、
実際に農家の“いま”を取材させていただきました。


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Q1. 住まいのトータテがなぜ農業?

2022年に創業60周年を迎えた当社では、住まいのご提供のみならず、そこに住んでくださるお客様に対して、より豊かなライフスタイルの提案をしたいと考えていました。そんな折に出会ったのが、後にM&Aに至ることになる㈱Rootの岸代表でした。システムエンジニアでありながら自身も農業に携わる岸代表の、「農家にもっと利益を生む仕組みを作りたい」、そして「こんなに楽しい農業を一般の方にももっと身近に体験してもらいたい」という思いが、当社の「地元広島の方に喜んでほしい」という理念と合致しました。食について知ることは、食べ物が育った土地やそれを育てた人を知ることです。広島の食をもっと知ることで、食べることがより楽しく、日々がより豊かに、そして広島をもっと好きになってもらえると願っています。


Q2. どんなアプリなの?

まずは、広島県内各地の農園の作業の様子をご覧いただけます。畑の《いま》を感じ、コメント機能で農家さんに作物についてあれこれ質問もできます。また、アプリ内では「はたけビンゴ」や「はたけクイズ」など、誰でも簡単に参加できる企画も提供中です。参加農家さんから素敵なプレゼントもあるうえ、農業には欠かせない温度の話など、クイズを通して学びにもなります。現地に足を運んでの収穫イベントやオンラインイベントなど、《体験》ができるのも本アプリの特徴です。収穫イベントにはこれまで90組を超える方にご参加いただき、大盛況でした。さらに今後は、身近に感じていただいた農作物を実際にアプリ上で購入できるEC機能も実装予定です。VR(仮想現実)やMR(複合現実)技術も実装段階に来ており、すでに他県にて試験的導入を予定しています。
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Q3. 運用から1年経って見えてきたモノ

日々成長していく農作物の様子をもっと細かく投稿できればという思いはありますが、農家のみなさんもお忙しい中での投稿なので、ここは現状の課題です。一方、収穫体験のイベントは毎回、広島市からを中心に多くの申し込みがあります。特に子どもたちは、土にふれ作物にふれることで、自分たちが食べているものやスーパーに並んでいるものがどのように育てられているのかを知るきっかけになっています。このたくさんの学びがある農業を、もっと発信していきたい、そんな思いを強くした1年です。また、例えば種まきに参加して、成育はプロである農家さんにまかせて、収穫は再び自分たちの手で行う企画も進行中で、仮に収穫には行けなくても自分で種をまいた農作物を購入できる仕組みなど、実際に運用してきたからこそ新たなサービスが動き出しています。
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Q4. これから目指すもの

自社開発のアプリだからこそ、みなさんの「こうしてほしい」をメールやチャット機能で気軽に言っていただけ、それをサービス内に取り入れていくことができます。例えば「自分で育てたキャベツでお好み焼きを作りたいから、そんな農園はないですか?」なんて質問も大歓迎です。実際にアプリ上では、ユーザーさんが農家さんに農作物の保存方法について直接聞かれていたりします。広島の農家さんと食べる人をつなぐ…「Ecaloひろしま」はまさにそのために生まれたプロジェクトなのです。


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APP
GOOGLE






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[Ecaloひろしま]にも参加している
2つの農園を取材。
農業のあれこれを聞いちゃいました。


▷ 穴ファームOKI

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同じ種でも育て方でガラリと変わる
そこが難しくて、面白い



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Q1.「穴ファームOKI」について教えて!

ほうれん草や朝採れトウモロコシを中心に、白菜、キャベツ、レタスなど年間を通して食卓に欠かせない野菜を栽培しています。四方を山に囲まれた自然豊かな環境で、安芸太田町内では比較的暖かい盆地にあります。このため冬場も霜が降りにくく、例えば白菜の外葉も傷みにくいのが特徴です。また、広島県を代表する清流「太田川」のおかげで水にも恵まれています。


Q2. 農業を始めたきっかけは?

祖父が農業をしていたので、農業は身近なもので、また憧れもありました。農業技術者になりたい気持ちもあったのですが、農業大学校へ進学し、農家でアルバイトを経験する中で、生産者側の仕事を面白いと感じました。研究より耕す方が好きだと気づいたんですね。卒業後は庄原や群馬で農業研修を重ね、農業を生業とすることを決めました。始めた当初は借金をしてビニールハウスや農機具の設備投資をしたので「やるしかない」という状況でした(笑)。でも、自分が作ったものを「美味しい」とお客さんがリピートしてくれて…そこからこの仕事にさらに魅力を感じ、栽培法にもこだわり始めました。
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Q3. 農業のやりがいと厳しさは?

良い品種、良い種なら質の高い農作物ができるという単純なものではありません。気候風土はもちろん、管理の仕方によって出来は大きく変わります。作る作物によって起床時間も変動しますし、1日たりとも気を抜けませんが、それでもこの農園に一番合う栽培法を見つけていかないといけない。プロである以上、長雨や暖冬だからダメだったなんて言い訳はできないんです。こうした試行錯誤は大変ですが、自分が思い描いた通りに農作物が育ってくれた時は、この上なく嬉しいですよ。


Q4. スマート農業や6次産業…今後の農業の展望は?

雨雲レーダーは細かくチェックしますし、自動灌水やビニールハウスの自動開閉などを取り入れています。また、アグリノートと呼ばれる農業管理アプリも活用しています。例えばオーバーワークの月があるなら、作業を他の月に配分できるのか、それは人でカバーできるものなのか、機械が必要なのかなど、データ化・数値化によって分析しています。農業はいまだ「見て覚えろ」の肌感覚が強い業界で、私自身もその感覚はわかるんです。でも、私の頭にある感覚は私以外にはわからない、それでは人は育たないんです。だからデータが必要だと考えています。一方、スマート農業は主に省力化・省人化を目指したものですが、うちはパートさんを入れて8名。地域の方とわいわいやっているのが楽しいし、地域に生かされていると実感もできます。6次産業も負担が大きそうなので今は考えておらず、それよりも農作物そのものの価値を楽しんでほしい、だからこそ収穫体験などのサービスは重要だと思います。


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穴ファームOKIの野菜はココで買える!

●農園にて直販(安芸太田町大字穴2598)
※事前にInstagramのDM等でご確認ください
●太田川産直市(安芸太田町上殿618)
●FROM EATS(https://fromeats.com/

名称
穴ファームOKI
住所
山県郡安芸太田町大字穴2598
ホームページ
合同会社 穴ファームOKI
Instagram
@anafarm_oki



▷ 甲斐農園

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何年やっても正解がない
これが農業という世界の魅力



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Q1.「甲斐農園」について教えて!

ジャガイモや青ネギ、レモン、みかんなどの柑橘類を栽培しています。安芸津町は東広島市で唯一瀬戸内海に面しており、温暖な気候に恵まれています。特に農園のある赤崎地区は赤土で知られ、水はけが良くミネラル豊富な赤土畑では、ジャガイモをはじめとした根菜類がおいしく育つのが特徴です。また、レモンは露地栽培とハウス栽培を組み合わせ、1年を通して栽培しています。
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Q2. 農業を始めたきっかけは?

千葉に住んでいた頃、知人の紹介で農園でアルバイトをする機会があり、種を蒔けば芽が出て、肥料をやれば成長するという日々変化する作物の姿に心を奪われました。それから日本各地にその土地に合った農業スタイルがあることを知り、住み込みのアルバイトで訪れたのが安芸津町のジャガイモ農家でした。すると、バイト感覚だったのがこの町の気候風土や暮らす人々に魅了され、本気で農業をしてみたい!と思ったのがスタートです。ちなみに大学は工学部。農業とは全く関係ありませんでしたが、大学で学んだことは農機具の整備などしっかり今の仕事に活きています。


Q3. 農業のやりがいと厳しさは?

畑に足を運び手をかけた分だけ、ちゃんと育って応えてくれるのは大きなやりがいです。そしてそれがお客さんの元に届いて「おいしい」と言ってもらえる。これ以上の喜びはありません。ただ、農作物が育つのは自然の中なので、毎年違う天候を先読みして収穫時期を前後させていくのは大変です。今年で10年目。1年目の頃に先輩方に言われていたアドバイスがようやく今になってわかることも多く、10年経って改めて1からのスタートだと実感する日々です。そしてこの何年やっても答えがでないところ、勉強することがいくらでもあるところこそが、農業の魅力だとも思います。


Q4. スマート農業や6次産業…今後の農業の展望は?

どんなに気候や人々のニーズが変わろうとも、それを言い訳にせず作り続けていくことが、私たちプロの仕事です。そのためには、自動灌水や自動施肥など、人間の勘頼りではなくシステムに頼っていくことも大事だと思っています。また、加工品も現在3種類作っています。農作物は収穫できる時期が限られるので、加工品を通じて安芸津町の食を年間を通じて発信していくのが願いです。


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甲斐農園の野菜や加工品はココで買える!

●ふれあい市安芸津店
(東広島市安芸津町風早647-8)
●とれたて元気市 となりの農家店
(東広島市西条町寺家7957-1)
●ホームページ(https://www.kai-nouen.com/
●その他、地元商店など

名称
甲斐農園
住所
東広島市安芸津町木谷4462
ホームページ
瀬戸内「安芸津」の甲斐農園
Instagram
@kai_nouen