向き合おう、ミッドライフクライシス

この記事は2025年5月27日に作成および更新したものです。
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ミッドライフクライシス
(中年の危機)という言葉をご存知ですか。
中年期に、自分自身の人生に対して不安や疑問を感じることは
けして珍しいことではありません。
今回はそんなミッドライフクライシスについて
広島心理教育研究所の小村先生にお話を伺いました。


Q1. ミッドライフ・クライシスって何?

ミッドライフとは、人生半ばの中年期を意味します。年代的には40~60歳くらいが相当しますが、一般的には仕事・家庭において一定の役割を持って、安定し充実した生活をされている方が多いと思います。その一方、中年期になると気になってくるのが「老化」ですよね。また、老化に伴う心身の衰えとともに仕事や家族など周囲の環境も変化していくと、誰でも人生の黄昏時を感じ始めるでしょう。さらに人生の終着も視野に入ってくると、もう将来に希望を見出せなくなって、時に落ち込んでみたり、ただため息をついてみたり…ということもあるのではないでしょうか。若かりし日々、無限の可能性を信じていられた時期から心身の衰えとともに、人生の有限性を実感する中年期に移行することで、自己のアイデンティティが大きく揺らいだ状態、それをミッドライフ・クライシス(中年期危機)と呼びます。



Q2. ミッドライフ・クライシスとどう向き合えばいいの?

中年期危機は誰にでも訪れるもの。ある意味、人生を順調に歩んできた証とも言えます。だから、中年期危機を感じたとしても何も悪いことではなく、むしろとても尊いことです。だから、しんどさを感じたら、まずは「それは誰でも経験すること」、「今は、そういうタイミングなんだな」という風に受け入れてしまいましょう。そして、気持ちを「切り替える」ために人との交流を持ったり、好きなこと・楽しみごとの時間を忘れず取りましょう。大事なのは、今できることを実践しながら、これまでの人生を肯定しつつ、人生のセカンド・シーズンへの展望をイメージすることです。例えば、今あなたが心のなかに秘めている「願い」や「やりたいこと」があればそれを具体化してみて、可能なら少しずつ実行してみるのです。社会という枠組みの中で少しだけ「ワガママ」になってみる。そうすれば、危機は「成長」すなわち「穏やかな老い」に向けての準備期間となるでしょう。


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Q3. 他にも中年期に気をつけておきたい心の症状は?

ところで、中年期危機というのは、それ自体が病ということではありません。例えば、更年期障害、認知機能の低下、体力・内臓機能の低下、子どもの自立による喪失感、仕事や家庭に対する責任の重さ、夫婦関係の不和や離婚などの様々なライフ・イベントによって、不安感、喪失感や虚無感、孤独感、罪悪感など、これまで経験したことがないような激しい感情体験にさらされ、睡眠障害やうつ病、適応障害などのメンタル疾患に陥りやすい危機的な条件が揃っている時期ということです。そんなときに、解消しようとするあまり、過度な飲酒のような「不健康な対処法」は逆効果。中年期という人生の節目は、様々に思い悩むもの、ということを知っておいて、ぜひ自らに「いたわり・思いやりの気持ち」を向け、Q2のような「健康な対処法」で乗り越えていく心構えを持っていただきたいと思います。


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おわりに

さて、「老化」いやですよね。筆者もちょうど中年期真っ只中ですので、老化は嫌だ! 若返りたい! という思いで「アンチ・エイジングケア」を実践されている方のお気持ち、よくわかります。…でも、実は「老化」は必ずしも悪い意味ばかりではありません。心理学的には、「老化」も発達のプロセスなので、老いを食い止めるより、むしろ老いを成長として受け入れることの方が大事です。もっとも、アンチ・エイジングによっていわゆる「健康寿命」を伸ばすことには大賛成ですし、筆者自身も実践しています。そうして、次なる希望、人生のセカンド・シーズンが充実したものになればなによりですよね。そのように、衰えや変化を受け入れて、「あるがまま」に今できることを実践していくのが最もストレスのない向き合い方ではないかと思います。最後になりますが、気分の落ち込みや強い不安、不眠などの不調が続くときは、病院の受診や、カウンセリングなどもぜひご検討していただきたいと思います。そうして、皆様が、豊かな実り、成熟へと向かわれることを願っています。






\ お話ししてくれたのは /
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広島心理教育研究所
代表カウンセラー
小村 緩岳先生

《Profile》


精神科病院での臨床、学校カウンセラー、企業内カウンセラーなど、幅広い領域でのカウンセリングを経験。不安と抑うつの低減に重きを置くカウンセリングやホリスティックな視点からのメンタルヘルスを専門とする。
https://hi-pec.com/




・臨床心理士
・公認心理師
・日本臨床心理士会会員
・広島県臨床心理士会会員
・(社)日本心理学会正会員
・(社)日本認知・行動療法学会 正会員



\ はたじょメンバー(※)に聞きました!/
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※はたじょとは、働く女性ならではのリアルで感度の高い声を活かして、アンケートや体験レポート、モニタリングなどに積極的に参加してくれる女性が集うトマトコーポレーション読者限定のメンバー組織です。


Q1. 「自分の人生、このままでいいのか」と思い悩むことはありますか?

Q114


Q2. それはどんな時ですか?(Q1で「よくある」「時々ある」と答えた方)

Q212


Q3. 40代以降になって感じた疑問や不安について教えてください。

● 自分の老化を感じるとき漠然と不安になる。(さやさや)
● まだ子供が小さく、これからお金が掛かるのに、世の中は物価高…やりたい事をやらしてあげられるか心配です。(haya)
● 仕事について、キャリアアップしたい自分と、このままでいいかなと思う自分がいる。(ゆーみん)
● パートで長らく勤めてきて、年数だけはベテランになってきた。契約社員の打診を受ける事があり、評価されているのだと思うと嬉しい反面、プレッシャーもあり、なかなか踏み出せない。(maron)
● 40代を過ぎてから、急に病気で入院や手術を経験した事もあり、体調面や体力的な不安は感じてきました。(まる)
● 自分の老後を考えるようになり、預金額に不安を感じ始めた。同時に資産形成を考えるきっかけにもなった。(スギ)
● 子供達が社会人になり、ひとまず親として責任を終えたという満足感を得たが、趣味等がこれといってないため、何か没頭出来ることを見つけなくてはと焦ってしまう。(HTM)
● 非協力的な夫と口をきかなくなって約1年、離婚をする勇気はないが、このままで良いのかわからない。(ゆっこ)
● 仕事と子育てに必死で、それがなくなったら、何も残らない自分に愕然としています。もはや何を心配したらよいのかさえ分かりません。(catherine)




※「はたじょ」調べ
●調査期間/2025年5月13日〜18日
●年齢/40〜49歳62.2%、50歳以上37.8%