最近、胸が痛くなるほどの咳や痰が出ます。もしかして肺がん?ちょっと不安です。
肺がんは、がんの中で最も死亡数が多い病気です
日本の死亡原因は悪性腫瘍が1位であり、特に男性における頻度の1位が肺がんです。いまだに肺がんは増加し続けており、診断されてからの5年生存率は13%にとどまり、難治癌の1つです。肺がんは50歳以上で急激に増加し、男性の7・4%、女性の3・1%に発生します。喫煙者が肺がんになるリスクは非喫煙者と比較して4・4倍に上昇します。
・肺がんには特有の初期症状がなし!症状が出てからではかなり進行していたというケースも
肺がんの特徴的な症状はありませんが、咳や痰、呼吸困難や胸痛などといった症状をきっかけに発見されます。しかし、症状が出てからの肺がん発見は、検診を受けた際の発見と比較して進行がんの可能性が高く予後が不良と言われております。ですので、肺がんの早期発見にはレントゲンやCTによる検診を受けることが重要です。レントゲン写真で肺がんの検出率は60〜80%と言われています。CTは、肺がんを検出する上で最も有力な検査であり、肺がんの検出率は94%で、特に早期がんの発見には有力です。喀痰細胞診は無侵襲で簡単に出来る検査ですが肺がんの検出率は40%程度であり、腫瘍マーカーは偽陰性や偽陽性のこともあるためこれのみでの検出は困難です。PET/CT検査の検出感度は90〜96%と高いですが、早期がんの検出率が低下するため、肺がんの進行の程度を検査するためによく使われます。
肺がんは難治癌のひとつ。診断されると5年生存率は13%。だからこそ何よりも早期発見が大切。
肺がんの種類と治療法
肺がんの種類は大きく分けて小細胞癌か非小細胞癌に分かれます。80%以上は非小細胞癌であり、根本的な治療は完全切除以外にはありません。小細胞癌は進行が早く転移も多いですが、化学療法や放射線治療の効果が高いため、治療の中心が化学療法と放射線治療となります。非小細胞癌の中で喫煙に深く関係している扁平上彼癌は男性に多く、腺癌は女性に多い傾向にあり、どちらも完全切除不能な進行癌は、放射線治療や化学療法の効果が高い訳ではありません。従って、徐々に発症率が増えている肺がんに最も賢く向き合うには、無症状な状態でレントゲンやCTで早期に発見して、完全切除していくことが大切です。特に腫瘍の大きさが2㎝以下の早期の段階で診断することが大切であり、CTでしか分からない様な淡い陰影の段階で発見されたらほぼ完治できるとされております。
肺がん予防として、まずは禁煙から
肺がんにかからないためにはまず禁煙することが大切ですし、タバコに含まれているニコチンに依存されている方は、なかなか禁煙が難しいです。まず、禁煙外来を受診して頂き、ニコチン依存症の治療をして禁煙しましょう。ご家族に副流煙の害もなくなります。そして50歳以上の方は、定期的にレントゲン検査を受けましょう。喫煙者やレントゲンで何か陰影がある場合や肺がんの早期発見をしたい方は、CT検査を受けてください。当院には低被ばくで高画質が取れるキャノン製のCTがあり、呼吸器内科専門医の私と放射線診断専門医の遠隔読影とで出来る限り早期に肺がんの診断がつけられるように努力しております。
●お話いただいたのは…
楽々園内科 呼吸器クリニック
安武美紀 院長
〜プロフィール~
広島市立舟入市民病院内科部長、JR広島病院呼吸器内科部長を経て、楽々園内科クリニックを開業。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医/日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医/日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
https://www.rakurakuen-naika.com
楽々園内科 呼吸器クリニック
安武美紀 院長
〜プロフィール~
広島市立舟入市民病院内科部長、JR広島病院呼吸器内科部長を経て、楽々園内科クリニックを開業。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医/日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医/日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
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