会社は教えてくれない「給与明細書」の見方

この記事は2022年8月27日に作成および更新したものです。
おでかけやご利用の際は公式サイト等で最新情報を確認してください。
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会社員として働かれている方は
毎月お給料と 給与明細書を貰うと思います。

給与明細書をちゃんとチェックされていますか?
一応見てみるけど
なんだか項目の名前が難しかったり…
どうやって金額が決まっているのか分からない…
そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私自身もそんなひとりでした。

私は
学校でも会社でも教えてくれない
「給与明細書の見方」を知りたくて
労務管理士と給与計算実務能力検定の
資格を取得しました。
そこで知ったことを
みなさんにお伝えできればと思います。

複雑で難しい給与計算ですが
難しい言葉は使わず
基本的なところをお伝えできればと思います。

※今回は会社勤務で固定給あり、 フルタイム勤務で雇用保険加入者を想定しています。
変形労働制やフレックスタイム制の労働形態は除きます。

▼この記事を読んで分かること
◎給与明細書の項目の意味
◎支給項目とはどんな項目か?
◎控除項目とはどんな項目か?

この記事を読めば、自分が貰う給与明細書の見方が分かるので、ぜひ参考にしてみてください。

1.給与明細書の仕組み(どこに何が書いてあるのか)

給与明細書サンプル

参照:株式会社秀和システム「給与明細のカラクリと社会のオキテ」

給与明細書の一般的な表を挙げてみました。
給与明細書に書かれているものは
大きく3つのグループに分かれます。
◆支給
◆控除
◆勤怠

会社によって多少違いはありますが
この3つは必要最低限記載されています。

ご存じの方も多いと思いますが、
給与を貰って
実際の手取額になるのは
「支給額」から「控除額」を引いたものです

※「控除」とは差し引くという意味です。

支給額と控除額がバラバラにならないように
給与明細書ではグループ分けして表記してあります。

そして
「勤怠」についての欄には
出勤日数や、欠勤・早退、
有給を取得した場合もここに記載されます。
※有休は年休と表記される場合があります


支給項目とは

手取額は支給項目から控除項目を引いたもの
とお伝えしましたね。

まず、諸々引かれる前の
「支給項目」についてご紹介します。

◆支給項目◆(主な項目一覧)
・基本給
・各種手当
・時間外労働手当(残業手当)
・通勤手当

これらが支給項目にあたります。
毎月決まった基本給と
役職に応じた職務手当や
資格を取得した際の手当など。
また、残業をした時の残業代や
会社まで通うための交通費などです。

手当については種類が多く、
会社独自で決められているものもあります。
この後で
もう少し詳しく見ていきましょう!


控除項目(天引きされる項目)とは

「控除項目」は「支給項目」から引くものです。
どんなものがいくら引かれているのでしょうか?

◆控除項目◆(主な一覧)
・健康保険
・介護保険
・厚生年金
・雇用保険
・所得税
・住民税
・財形貯蓄
・積立金など

なんだか
支給項目と比べて項目が多い気がしますよね。


2.支給項目についてちょっと詳しく

支給項目

「支給項目」にはどんなものがあるのか
お伝えしてきましたが、
ここからは
少し詳しく見ていきたいと思います。

◆手当の種類
◆残業代の種類

この2つは
支給項目に大きく関わってくる項目なので
ぜひ見てみてください。


手当の種類

先ほどもお伝えしたように
「支給項目」の手当は種類が多いです。

住居手当や通勤費手当など
住居が変わらなければ
変動のないものもありますが
資格手当は
業務に必要な資格を取得すれば
手当として会社から支払いがプラスされます。
自分の頑張りが評価される手当と言えますね。

手当の一般的なものは
・住宅手当
・役職手当
・食事補助手当
などでしょうか。

みなさんの会社には
この他にも手当はあるでしょうか?

また、
最近ではコロナ禍に関連した
手当も目にするようになりました。
会社によって
独自に設定されたうちの例です。
例えば…
コロナ禍での
テレワークを推進するための
コロナ手当。
オンライン会議に必要な
カメラやマイクなどを
購入する際の手当など、
時代と働き方に応じて 色々と変化していく手当は
会社のオリジナリティが
出るところではないでしょうか。

給与明細書を見て
いつもより金額が増えたな?と思ったら
手当の項目もぜひ
チェックしてみてくださいね。


残業代の種類

毎月の手取額に大きく影響するのが
一般的に言う
「残業代」ではないでしょうか?

実は
一言に残業代といっても
色んな種類があるんです。

それぞれ割増率
(通常の労働時間に対して支払われる賃金に加えて支払われる金額)が
異なります。

--------------------
①時間外労働➤割増率2割5分以上
※時間外労働は1日8時間を超えて労働した場合のこと

②法定休日労働➤割増率3割5分以上
※法定休日は毎週1回の休日または4週を通して4日の休日のこと

③深夜労働➤2割5分以上
※深夜とは午後10時から翌朝5時まで

④時間外労働+深夜➤5割以上
※1日8時間を超えて労働した時間が深夜帯の場合

⑤法定休日労働+深夜➤6割以上
※法定休日かつ深夜帯に労働した場合
--------------------
見て頂くとお分かりの通り
残業代ひとつにも細かい規定があり
なかなか複雑です。

給与明細書によっては
「普通残業手当」と「深夜残業手当」が
区別してあることがありますが
これは割増率が異なるからです。


3.控除項目についてちょっと詳しく

控除項目

実際に天引きされる
「控除項目」について見てみましょう。
控除項目は2つのグループに分かれます。

①社会保険/労働保険
②税金

◆社会保険◆
・健康保険
・介護保険
・厚生年金
◆労働保険◆
・雇用保険

◆税金◆
・所得税
・住民税


社会保険/労働保険

◆社会保険/労働保険◆
ひとつずつどんなものなのか説明します。

【健康保険】
病気やケガに備えるための保険料。
保険証があれば病院での支払いが3割で済みます。
給与明細書にある金額と同じ額を
会社は負担してくれています。

【介護保険】
将来要介護・要支援となった場合に備えるための保険料。
健康保険料と同じく会社が半分支払ってくれています。
40歳から保険料が差し引かれます!

【厚生年金】
65歳以上や障害認定になったとき
年金をもらうための保険料。
将来のための積立金のようなイメージですね。
こちらも同じく半分会社が負担してくれています。

【雇用保険】
失業や介護・育児で休業したときに
給付金を貰うための保険料。
ハローワークで失業保険を貰うときに関係します。
雇用保険は自分より会社が
少し多めに支払ってくれています。

※労働保険には労災保険がありますが
実質全額会社負担なので詳細は省略します

社会保険/労働保険は
会社が折半して負担してくれたり
それ以上の額を負担してくれています。
労働中の事故やケガを補償する労災保険は
全額会社が負担してくれています。

一見、引かれる金額が多く感じますが、
もし自分が働けなくなった場合の備えとしての
保険料ということになります。

控除項目は多いな…と感じた方もいらっしゃると思いますが
全てが自分の負担ではないことがお分かり頂けたかと思います。


税金

ここからは 控除される税金についてご紹介します。

①所得税
②住民税

【所得税】
これは給与を貰っている人は必ず
支払わなければいけない税金。
医療費や年金のために使われます。
実際は、
多めに天引きされている場合があります。
なので
「年末調整」で支払った過不足分を調整します。

【住民税】
自分が住んでいる都道府県と市区町村に払税金。
子育て支援や高齢者支援などに使われます。
今年支払う額は、
昨年の給与額によって決定されるので、
入社2年目から住民税が引かれると
よく聞くのはこの意味です。


4.まとめ

いかがだったでしょうか。
少し…、なんとなくでも
給与明細書ってこうなっているんだと
思って頂けると幸いです。

給与明細書の見方は
正直、複雑で難しい所もあります。
法改正があれば料率が変わるので
手取の額が変わることもあります。

手取り額が減ったり増えたりしたときに
控除額が増えたのは
社会保険料が増えたからだな!とか
頑張って資格を取ったから
資格手当が増えたんだな!とか
ご自身の日々の頑張りを
読取って頂けるきっかけになれば
とても嬉しいです!
(担当ライター:森下恵