働く女性の本音_vol.112_山﨑 菜緒さん

アナウンサーの原点は、平和への誓い
いま、伝える側にいられることが喜び

小学６年生で務めた、こども代表として平和記念式典で「平和への誓い」を述べる大役。式典後の反響は大きく、この時感じた「言葉って人の心を動かす力があるんだ。自分も言葉で人の心を動かせるような、その背中を押せるような人になりたい」という思いが、アナウンサー・山﨑菜緒の原点です。学生時代には臨床心理士を目指しますが、留学先のハワイで自分のやりたいことを追求する周囲の姿に、改めて自分の進みたい道を自問自答。アナウンススクールに入校したのは、ハワイから帰国した翌日でした。

大学卒業後に入社した長崎放送では、様々な平和報道に携わります。被爆者へ取材し、それを自ら編集。中には、初めて被爆体験を話すという方もいて、こうした貴重な経験を重ねるごとに、いつか地元広島でも平和報道をしたいという思いを強くします。「こども代表を務めた６年生の時の作文は、佐々木禎子さんについてのものでした。いま、こうして広島の放送局に勤め、佐々木さんのご親族に取材させていただいたり、昨年はこども代表にも密着させていただきました。平和への誓いがきっかけでアナウンサーを志し、その時といまが点と点でつながっていることが、そして広島の方に伝えられていることが、とても大きな喜びです」。

そんな山﨑さんがMCを務めるのが、４月からスタートした夕方の帯番組『ピタニュー』。新番組のMCというプレッシャーと毎回の緊張はあるものの、チームの温かい雰囲気に助けられていると話します。番組を進行する上で心がけているのは、「自分自身を作らない、飾らない」ということ。嘘がないからこそ、視聴者の皆さまと同じ目線、同じ感覚で話すことができます。一方、取り扱う内容が幅広く、常に世の中の様々なことにアンテナを張っておかなければならないのは、帯番組ゆえの大変さでもあります。「○○が○○なのはなんでだろう」と、世の中のあらゆる出来事に疑問を持つこと、それがいまの習慣です。

記者の業務も兼務していた長崎時代。このため取材、原稿、編集までこなせるのも彼女の強み。自分が疑問に思う＝視聴者にも役立つ情報を自らが企画・取材し、自らの言葉で広島の人に伝える。それが山﨑さんのやりがいであり、目指すアナウンサー像です。