高めよう!働く女性の “会話力”

2021_06_働く女性の会話力
家族や同僚、上司にクライアント、さらに友人、恋人…と
私たちは日々多くの人とさまざまな会話を交わしています。
しかし、「もっと上手に話したい…」「言いたいコトが伝えきれない…」
といった悩みも多くの人が抱えています。
しかもコロナ禍による新しい生活様式は、マスク、アクリル板、オンラインなど、
会話のシチュエーションをも変化させました。
そんな今だからこそ、高めておきたいのが“会話力”です。
今回は、話し方の「プロ」に、会話力やコミュニケーションについて伺いました。


ACT01
初対面の人とでも上手に会話するために

ビジネスの現場はもちろん、働く女性にとって初めて会う人と会話をする機会は多いもの。そんな時に、最も大切なことは、第一印象で親しみやすさを感じていただくこと。ポイントは、①笑顔の挨拶 ②相手に興味を持ち、共感する ③ゆるーい会話(スモールトーク)。

①挨拶は、自分と相手の間にある壁をやぶり、関係性を近づけます。そして笑顔は、その場の空気を和ませ、人の心を明るくし、笑顔にすることができます。まずは、初めての場、初めての人と会話をする時には、ナチュラルな笑顔で挨拶をしてください。すると、相手の心の扉が開きやすくなります。
②相手に興味を持ち、質問→聞く→共感を繰り返しながら相手との共通点を見つけることができると、距離がグッと近づき会話が弾みやすくなります。
③初対面の人との会話では、いきなり重たい話しをするよりは、浅い話題でゆるーい会話(スモールトーク)を。天気・季節・持ち物・仕事・マイブームなどの定番ネタでOK。

初対面の人との会話で重要なのは、話しの内容よりも、親しみやすさや、楽しい・心地いいなどのプラスの印象を持ってもらう事です。くれぐれもいきなり政治・宗教・健康等の個人的なことを話題にしないように。

ACT02
相手に伝わりやすい話し方とは

①聞き手にベクトルを向ける ②エネルギーの高さを表現する ③ゴールを明確に簡潔に話す。

①まず重要なのは、相手が興味のある内容を、相手が受け取りやすいように伝えること!人は、聞きたい情報しか受け入れません。話しの内容が、相手にとって、関係・関心があり、価値があるかどうか。自慢話や、自分が話したいことだけを話して楽しいのは自分だけ。自分にベクトルを向けるのではなく、相手にベクトルを向けた内容・伝え方を意識しましょう。
②声・姿勢・表情で、高いエネルギー表現することも大切です。エネルギー不足では、相手に自分のメッセージは届かず、受け取ってもらえません。高いエネルギーを声・姿勢・表情で表現し、伝えることが大事です。声は熱量を届ける道具。豊かな声を意識しましょう。美しい姿勢は、あなた自身の価値を高めます。常に背筋を伸ばし、視線は高く、ボディランゲージは優雅にを心がけてください。表情で大切なのは、目。現在のマスクコミュニケーションでは、特に重要。まずは心を笑顔にし、目をしっかり開いて舞台女優になったつもりで、目をキラキラ活き活きさせましょう。目をキラキラにすれば、自然と頬の筋肉が上がり、口角も上がり、笑顔の優しい表情になります。
③プライベートでは良くても、ビジネスにおいては、話しの長さはマイナスになりかねません。ゴールを明確にして簡潔に話すことを心がけましょう。ポイントは、「結論→理由(なぜならば)→事例→結論」。まずは、何を伝えたいのかを明確にして、結論から話すことを意識することから始めてください。

ACT03
聞き上手を目指そう

聞き上手になるためには、引き出し上手になることが大事!そのためにも、まずは相手に気持ちよく話してもらえるように、以下の3つを心がけ、チャレンジしてみてください。
①あいづち ②相手の気持ちに寄り添う ③相手を包み込むような目線

①日本人は、人の話しを聴くとき無反応な人が多いと言われます。意識的に、相手の話しにあわせてあいづちをうつことで、話しを聴いているという反応を返すことが大事です。ただし、相手の話しのペースよりも速いあいづちや、はい、はい、などのワンパターンなあいづちでは、返って不信感を持たれます。相手に身体を向けて、相手の話すスピードに合わせ、バリエーションのあるあいづちを意識しましょう。
②相手の気持ちに寄り添いながら、話し手を承認・共感・賞賛する言葉でのあいづちをうつことも大切です。あいづち基本の「さしすせそ」。「さ」さすが・さすがです「し」知らなかった・信じられない「す」素晴らしい・ステキ・すごい「せ」センスがいい「そ」その通り・そうですか・そうなんですね・それ良いですね等。
③人の話しを聴く際には、相手を包み込むような優しい目線を意識して、安心して、気持ちよく、話しやすい雰囲気をつくることも大切です。

ACT04
相手と打ち解け、会話の流れを止めないコツ

相手とうちとけ、信頼関係を築くために、日ごろの会話から、心がけておきたいのが、コミュニケーションの基本①ペーシング ②ミラーリング ③会話サイクルを回す。

①ペーシングとは、会話をしている相手と、呼吸やペース、声のトーンやボリューム、テンションを合わせることです。相手と自分のペースを合わせることで、相手に安心感を与えることができ、うちとけ、信頼関係を築きやすくなります。
②ミラーリングとは相手と動作を合わせることです。相手が笑えば笑い、身を乗り出してしゃべれば、同じように身を乗り出してみたり、ドリンクを飲めば、合わせてドリンクを飲んでみたり。あくまで、さりげなく、ワンテンポずらして行う事。やりすぎると、信頼関係を築くどころか、不信感を持たれ関係が壊れますので、ご注意ください。
③会話の流れを止めないために必要なのは、会話のサイクルを回す、です。「質問→聴く→質問→聴く→時々自分の話し」というサイクルをどんどん回していく。最初はスモールトークから始めて、聞き返し質問(相手の質問に対する答えに対して、○○ですかと、返す)や、しりとり質問(相手の話しのキーワードを拾って、○○といえば、○○ですか?で繋いでいく)で、さらに質問を続けたり、話題にそった自分の話しを入れたり。会話のサイクルを回していくと、会話が途切れることなく弾んでいきます。気を付けないといけないのは、ただ質問を繰り返すこと。相手の話を聴いてますよというリアクション(あいづち)をしながら、楽しく会話のサイクルを回してみてください。

ACT05
オンラインでの会話はこうすべし

仕事や所属するコミュニティにおいて、オンライン化が進んでいく中、便利になった反面、相手との距離感を感じたり、オンラインでの発表や会話に、ストレスや苦手意識を持っている方も多いのでは。そんなオンラインでの会話において、心がけたいことを3つお伝えします。
①画面に動きを見せる ②テンション3倍 ③一人でしゃべりすぎない。

①オンラインの際には、できるだけ、PCやスマホ等のカメラの位置を、自分のバストアップが画面に収まるように調整してください。そして、画面の中で、自分が話をする時には、手の動きを見せる(ボディランゲージ)。そうすることによって、画面の中に変化をつけることができ、退屈しがちな参加者や聞き手に刺激を与えることができます。また、聞き手に回った時には、対面の時以上に、うなづきや、拍手等のリアクションをとることも、心がけてください。
②画面をはさんでいるだけで、電話と一緒でいつもどおりのテンションでは、覇気がなく感じられます。発言・発表をする時には、テンションを3倍にする。視線を上げて、2メートル先の人に向かってしゃべるつもりで、声を出す。目を笑顔にして、活き活きとしゃべる。テンション3倍というと、恥ずかしいと思う方もいると思うのですが、少々、テンションを上げてしゃべっても、リモートだと普通です。ご安心ください。
③複数人でのオンライン会議等では、しゃべりすぎないことを心がけましょう。リアル以上に、まわりが割り込むことが難しいし、しゃべってる間、特にオンラインでは、自分以外の参加者がどんな空気になっているのか、わかりずらいので。




薦田-裕子(こもだゆうこ)さん



話し方のいろはQ&A
「人前で話す職業は?」と聞かれてすぐに思い浮かぶのがアナウンサーです。
では、アナウンサーは普段からどういうことを心がけて話しているのでしょう。
今回は、広島テレビ『テレビ派』でおなじみの馬場のぶえさんに答えていただきました。


Q:番組で話すときに心がけていることは?

具体的に話すようにしています。聞く人が、映像をイメージできる話し方です。番組で「干し芋が好き」という話をした時も、「牛タンみたいにベロンとした、平べったい干し芋が好き!」と言いました。絵が浮かぶでしょ?(笑)
また、“人の集中力は15秒”と聞くので、言葉を取捨選択し、長くなりすぎないこと。
さらに、自分の話で傷つく人はいないか、誤解を与える言い方になっていないか、もっと適切な言葉はないかなども考えます。

Q:番組とそれ以外での話し方の違いは?

テレビだからと格好をつけて話してもぼろが出るので、むしろ、普段と差のない自然な話し方を心掛けています。
だからこそ、日頃から、誰に聞かれても恥ずかしくない言葉選びをしなければと思っていますが、これがなかなか難しいですね…。あえて言うなら、番組は様々な世代の方が観ているので、今どきの言葉や難しいカタカナ語はできるだけ使いません。最近よく言う「映える(バエル)」も「写真映えする」と言い換えるなど、誰が聞いても分かりやすい表現にしています。

Q:生放送での緊張をほぐすためにしていることは?

昔、先輩に「緊張するのは準備が足りていないから」と言われたことがあります。
基本の発声練習や、その日取り上げる内容についての下調べ、イメージトレーニングなど、できる限りの準備をしておくと少し緊張がほぐれます。また、これは私の失敗談ですが、以前『ミヤネ屋』に出演した際、初めてのスタジオや共演者に尻込みし、声や手が震えてしまいました。
弱気は最大の敵。緊張している時こそ、大きな声を出し、気持ちで負けないことが大切ですね。

Q:普段生活に取り入れているトレーニング法は?

会話は一人でするものではなく、相手との“言葉のキャッチボール”。
誰かに挨拶をする時、「おはよう」だけで終わらず、「その洋服きれいな色だね」とか「昨日、カープが勝ったね」などの言葉を投げかけ、その後のコミュニケーションを楽しむことが、話すトレーニングになると思います。

Q:発声練習や喉のケア法は?

オススメの発声練習は「ユーミ―体操」。あるフリーアナウンサーの方に伝授されました。
“あなた”と“私”の、you・meです。覚えやすいでしょ?
「ユーミーユーミーユーミーユーミー…」と息が続くまで繰り返すだけ。「ユー」の時は思いっきり口をとがらせて、「ミー」の時は口を両端からひっぱられるような感覚で発声します。口の周りの筋肉がほぐれ、表情も豊かになりますよ。
特別なケアはしていませんが、喉の調子が悪い時は発声練習を軽めにし、大きな声を出さないようにしています。

Q:話すのが苦手…そんな方にメッセージを!

私の話し方のモットーは「力まず きどらず 自然体」です。
自分以上の自分を見せようとすると、言葉がつっかえたり、瞬きが多くなったりと、どこかに不自然さが出てしまいます。
また、本心じゃない言葉は、聞く人の心に響きません。
「人から良く見られたい」という気持ちをぐっとこらえて(笑)、ありのままの自分でしゃべりましょう!




馬場のぶえさん



「会話力」読者アンケート


Q1


Q2



《自信がある》
初対面でも誰とでも友好的に仲良くできるので。(かな)
広く浅く話題を持ってると思うので。(ohshima46)
初対面での印象はそれ程でもないようだけれど、打ち合わせの後などは信頼できると言ってもらえることが多いから、会話の中で信頼を得ていると思う。(イチハ)
音楽や学習を人に指導することで会話力が高められました。総合商社への勤務、デパートでの接客経験から、会話力はさらに、スキルアップしたと思います。(まりあのり)
《自信がない》
情報量が少なく話が抽象的になったり、接続語が多くなったりと会話力が不足しているから。(なみっくま)
話題を広げる力がないから。(ゆち)
話しがまとまらず、ダラダラと話してしまう。(たまこ)
思っていることがうまく表現できない。会話のキャッチボールが下手。(ゆかりん)
仕事の話は出来るが、プライベートの話になると何を話していいか分からなくなる。そんな時は、自分の興味の幅が狭くて自己嫌悪。(しろくま)


Q3
「はい」か「いいえ」で答えられない質問をたくさんする人は、会話上手だと思います。(あかさき)
会話上手さんは、こちらも話しかけやすい雰囲気を持っています。いつでも感情に流されずフラットに、自分から話しかけているからだと思います。会話下手さんは、壁があるイメージ。こちらの問いに、目を合わせないからだと思います。(aya26)
傾聴できる方は上手。我が事ばかり話す方はちょっと…。(madoka)
会話上手~ネガティブな意味合いの言葉を使わない。会話下手~怒涛の如く喋り続ける。(きこ)
相手との会話からヒントを得て、自分の得意な話に持っていける人が上手いと思う。下手な人は、相手との会話の糸口が見つからず話が発展しない、何度も聞き返されたり、聞き返したりして会話が成り立っていない、質問に対する答えがおかしいなど。(モモ)


Q4
◯ 成功例
好きなものや好きなことを普段の会話などで周りにアピールしておく。すると、何か話題を提供してもらえたり、実際、何かもらえたりする(笑)。(かいうたママ)
ペット(犬)の話は相手との距離を一気に縮める気がします(お互い犬を飼っている場合)。(kako)
仕事だと思うとお客様とは結構上手く話せます。おかげで顔や名前を覚えて貰いやすく、得しています。(カル)



× 失敗例
丁寧に話したつもりが失礼な言葉や、よくよく考えると意味の分からない返事をしてしまっていた。(おくに)
言いたいことがなかなか思いつかず後から後から言いたいことが出てくる時があります。メモして言ったらいいなー、とよく思います。(ひろひろ)
再就職セミナーで模擬面接の際、自分の思うシナリオではなかった時に頭が真っ白になり言葉が出なくなった。(maron)


私の会話、私のコミュニケーション
仕事で日々多くの人と対話。最近は「Clubhouse」も利用中!

占い師をしているので、クライアント様のお話しを遮るように相槌を打たない事、またお相手の言葉をそのままオウム返しや否定せず、言葉の真意を汲み取り「○○という事でお悩みなんですね」と代弁する事で、言いたい事はきちんと伝わっているという安心感を持ってもらえるようにしています。そして占い中は絶対に「否定」しません。解決の難しいお悩みであっても、どうしたら解決に向かうかのアドバイスと、「絶対にうまくいきます」とお相手が無意識に設定してしまった「限界」を超えられる声かけを行っています。
たくさんの方々と会話しているため会話力にも自信があります。居酒屋に一人で入る時はカウンターのある居酒屋を選びます。カウンターの向こうには必ず店員さんがいらっしゃるので、その方との会話を通じて、隣に座った方へ「今の話どう思いますか?」とお話しを振ったり、会話の中でお相手から「同じ出身校ですね」とお声かけしてもらったりします。話が弾み、奢っていただいたこともあります!
最近では「Clubhouse」という音声SNSで自分のルームを開設し、占いのご相談や、スピリチュアル系のお話しに興味のある方々へ、私の持っている知識を少しずつお話ししています。他のSNSと違い、レスポンスが会話形式で返ってくるので、とても勉強になります。また、アイコンを見てお話しをする為、「笑顔の写真」「しっかり顔がわかる写真」をアイコンに選んでいます。そうする事で皆さまも心を開いてお話しする事ができるのではと感じます。私は自分の惹かれるタイトルを見て入るので、同じような価値観を持った方が多く、違和感もあまり感じず、とても楽しい方々ばかりです。世界中の方々がやっていらっしゃるので視野がとても広がり、語学の勉強にもなります!
(ruki/40代)



会話が必須の医療の現場。疎通力アップのスキル研修も!

看護師として病棟勤務しているので、入院されている患者さんの治療方針や看護ケアなどについて、互いに情報共有が必須です。報告・連絡・相談がしやすい職場環境を作っていくことは、職場を挙げて目指す必要があり、互いに努力はしているとは思います。だから周りはみんなコミュニケーションが上手です。そもそも、基本的に看護師のコミュニケーション能力というのはとても重要なものであるため、素質として身についている方が望ましいと思います。
勤務中は、巡室、検温の時の表情や口調、夜眠れているかなど、気にかけています。また、患者さんは自分の病気や治療、今後のことについて不安を感じやすいものです。自分がもし患者さんの立場だったら、を考えて、「こういうことが心配ではないですか?」「なにか気がかりはありますか?」「お顔がうかない感じがしますが、なにかできることがありますか?」などの声かけも行っています。それから、看護師は患者さんに「手当て」をすることができます。いわゆるタッチングというものです。手に触れる、背中をさする…手のあたたかみには、人を安心させる力があります。オンラインが難しい仕事ですが、肉声、笑顔、雰囲気、エネルギーというものは、会って肌で感じられる人間同士として大切な要素だと考えています。
職場では、コミュニケーションスキルの研修も受けています。相手の話しを遮らず最後まで聞くこと、言われていることを要約して確認すること、言われていることへ共感や承認をすることなど、さまざまあります。一方、自分の伝えたいことをどのように言えば円滑に伝えることができるのかなどのアサーション(自己主張)スキルも、大切なコミュニケーションスキルのひとつだと思います。
(あきこ/40代)