身原院長(以下身)》皮膚科では、10代、20代だとニキビやアトピー性皮膚炎が多く、30代になるとシミのお悩みも加わります。婦人科ではどのような症状が多いんですか?
貞森院長(以下貞)》当院で10代、20代に多い疾患は月経不順や月経困難症、30代、40代では子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などの良性疾患です。50代からは更年期障害、60代以上になると骨盤臓器脱や腟炎のお悩みが増えてきます。
身》そうなんですね。皮膚科は40代、50代になると老人性疣贅(ゆうぜい)と言われるような良性の皮膚腫瘍やシミ、シワ、タルミなどのお悩みが、またこの頃から加齢によるドライスキンの皮膚トラブルも増えてきますね。
貞》ドライスキンによる皮膚トラブルで多い状態は何ですか?
身》皮脂の分泌は年々低下しますが、そこに不適切なスキンケアがプラスされ、皮膚のバリア機能が下がって湿疹が出てくるケースです。女性だと顔のクレンジングを一生懸命しすぎて、かえって皮膚トラブルを起こす例が近年増えています。
貞》40代以降は、更年期を迎える時期ですよね。50〜51歳が平均閉経年齢で、閉経年齢の前後5年間を更年期と言います。この時期はエストロゲン(※1)の分泌が少なくなります。こうしたことも皮膚のトラブルの要因のひとつかもしれないですね。
身》年代別というわけではないですが、当院は昨年、マスク必須の中での開業となり、とにかくニキビの相談が多く、中でも30代以降の患者さんの多さは印象的でした。貞森先生はコロナ禍での患者さんの変化というのはありますか。
貞》精神的に不安が増し、ホルモンバランスを崩して月経不順になるケースもありますし、例えば更年期の方は介護をしていることも多い世代なので、コロナ禍の影響で入所されている方に会えないという不安感から更年期の症状が強く出る方もいらっしゃいます。
身》介護でいえば、最近、介護脱毛を希望される方も増えましたね。ご自身が介護した経験から自分が介護されるときに面倒をかけたくないという思いで、陰部の脱毛をされます。50代以上の方が特に多い印象です。
(※1)エストロゲン[卵胞ホルモン]:代表的な女性ホルモン。肌や髪の潤いを守ったり、女性特有の丸みを帯びた体をつくったり、体全体の健康を支える役割も果たす。脳や自律神経にも働きかけるため女性の心身に大きく影響するのが特徴。