晩婚化・晩産化が進む日本では、不妊症に悩む方が増え続けています。不妊症は、働く女性にとって退職の直接的な要因となり得る問題で、当事者のみならず、企業にとっても貴重な人材を失う可能性があるものです。
「NPO法人Fine(ファイン)」が、仕事をしながら不妊治療を経験したことのある、もしくは考えたことのある男女に行った調査では、実に95.6%の方が仕事と不妊治療の両立に難しさを感じたと回答しています。体調により治療日が決まる不妊治療はあらかじめ通院の予定を立てることが難しく、また必ず結果が得られるものではないため、上司や同僚に相談しにくい問題でもあるようです。
一方で、不妊症に悩む方を支援する制度も広がり始めています。広島県では、不妊検査から一般不妊治療(人工授精まで)を行っている方を対象にした「広島県不妊検査費等助成事業」と、体外受精・顕微授精を行っている方を対象にした「特定不妊治療支援事業」(※)の2種類の助成制度があり、令和3年度からは不育症検査費用の一部を助成する「広島県不育症検査費助成事業」もスタートしています。また、令和4年4月からは不妊治療にかかる経済的負担の軽減を目的に、一部の不妊治療が保険適用となります。
この他、広島県では「不妊専門相談センター」や「こうのとり基金」を設け、不妊や不育に悩む方に対して細やかな支援を続けています。こうしたサポート制度の拡充と企業による職場への啓発、そこで働く人の「お互いさま」の風土づくりが、不妊にやさしい社会を実現する確かな一歩となっていきます。
(※)令和4年4月から特定不妊治療が保険適用となるのに伴い、現在の「特定不妊治療支援事業」は令和4年3月31日で終了します。ただし、助成制度から保険適用となる移行期に支障が生じないよう、年度をまたぐ1回分の治療については経過措置として助成金の対象となります。