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【2021年版】愛と喜びのある結婚をするということ③
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「結婚の意味」や「愛の重要性」、そして、教会で挙げる「結婚式の内容」について、これまで2回にわたり、お伝えしてまいりました。
今回は、「結婚の誓約」や「結婚の成立」について、教会の結婚式の中で、最も頂点といえる部分について、実際に教会の結婚式で司式をされている、福田誠二神父様からのご回答をもとにお伝えします。これから結婚しようと思われている広島の女性の皆様、そして、結婚して何年も経過した皆様、残念ながら離婚してしまった皆様など、現在、様々な境遇で、日々を過ごされている皆様のために、今回も「結婚で大切なこと」をご紹介します。
▼この記事を読んで分かること
◎ 結婚式における、新郎新婦の入堂について。
◎「結婚の誓約のことば」について。
◎ 結婚成立の宣言とは?
この記事を読めば、「教会で行われる結婚式」についてわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 「新郎新婦の入堂」について
●【質問】:結婚式の最初の印象的なシーンが、「バージンロード入場」で、名場面のひとつですね。
エスコート役は、父親が担う場合が多いと思います。教えてくださいますか?(ライター:山田)
(福田神父):「新郎新婦の入堂や退堂については、カトリック教会では、様々な国や地方の文化や慣習に従って、そして参列者全員にとって最も相応しい形式を選ぶことができます。」
「私が日本で経験した最もポピューラーな形式は、まず、祭壇前に立っている司式者(神父)の所まで、まず新郎が一人で入場し、多くの場合、父親にエスコートされ、やがて入場してくる新婦を迎えます。
新郎まで数歩の所で、父親は止まり、新婦は父親の手から離れ、一人で新郎の所まで歩みます。
そしてそこから新郎新婦は並んで進み、司式者と共に祭壇で一礼し、各々の席に着きます。
これまで私が経験させていただいた結婚式の中で最も感動させられたことの一つは、花嫁さんをエスコートして進んでこられた父親の方が花嫁さんから手を離し、ご自分の席に向かわれる時の(父親の)喜びと寂しさの入り混じった『愛する者の複雑な表情』です。
この『愛する者としての父親の表情』が後の『結婚の誓約のことば』によって成就されることになります。」
●「花嫁の父」は、感無量の境地で、この瞬間を迎えているため、「愛する者」ならではの表情になられるわけですね。これらは、司式者だからこそ、わかり得る表情といえますね。(山田)
2. 「ことばの典礼」では、好きな聖書の箇所が朗読できる。
●教会にかかわらず、ホテルのチャペルや結婚式場でもキリスト教式の結婚式では、必ず「聖書朗読」がありますね。
聖書朗読について教えてくださいますか?(山田)
(福田神父)
「前回(パート①)の記事で『教会での結婚式で最も多く読まれる聖書の箇所は《コリント書一、12,31b~13,13》である』ことについて話しました通り、朗読される聖書の箇所は、結婚されるお二人が自由に選ぶことができます。
もちろん、教会の結婚式ではお二人が『永遠の愛』を誓われますので、一般的には、お二人が司祭と共に準備される『結婚講座』において、聖書の様々な箇所の意味などを学んだり、考えたりしながら、相応しい聖書の箇所が選ばれ、朗読されます。」
●ありがとうございます。教会の結婚式では、自由に、各々にふさわしい「聖書の箇所」を、おふたりで選べるところが魅力的で良いですね。(山田)
3. 「結婚の誓約のことば」=「教会での結婚式の頂点」
●いよいよ、映画やドラマなどでも、一番よく扱われるシーンの「誓約」についてお伺いします。
教えてくださいますか?(山田)
(福田神父)
「司式者がお二人に『結婚の意思の確認』を行った後に、様々な形式がありますが、ここで教会での結婚式の頂点となる『結婚の誓約』が始まります。
司式者がお二人に『〇〇〇さん、あなたは〇〇〇〇さんを妻(あるいは夫)としますか』と、結婚の意志の最終確認を行います。
各々が『はい、いたします』と答えた後に、司式者が『それでは一緒に、誓いを立ててください』と言います。
すると二人は声を心に合わせて一緒に、次のように答えます。」
『わたしたちは夫婦として、順境にあっても逆境にあっても、病気のときも健康のときも、生涯、互いに愛と忠実を尽くすことを誓います。』
●誰もが一番よく知っている、結婚の「誓約のことば」ですね。
まさに結婚式の頂点といえる場面です。(山田)
4. 「結婚成立の宣言」
(福田神父)
「続いて司式者は二人の誓約を確認して、例えば、次のように宣言いたします。
『わたしは、お二人の結婚が成立したことを宣言いたします。お二人の結婚の成立したことを宣言いたします。お二人が教会の前で表明されたこの同意を、いのちの与え主(あたえぬし)である神が、キリストのうちに固め、祝福してくださいますように。』
このように、誓いのことばが『順境であるとき、健康であるとき』は当然のことでしょうが、『逆境にあるとき、病気のときにこそ、夫として妻として、生涯、愛と忠実を尽くすこと』を、『神と人々の前で誓う』という内容になっています。
そして、ここで注目すべきことは、この『結婚の誓約のことば』が、始めに述べました『ことばの祭儀による結婚式』においても、『ミサによる結婚式』においても『まったく同じである』ということです。
つまり、教会での結婚式は『キリスト教徒であってもキリスト教徒でなくとも』、キリスト教・カトリックにおける『結婚成立の要件あるいは条件』ともいうべき『最も大切なこと』は、『お二人が真に愛し合っていること』のみであり、しかも『共通である』という点です。
前回(パート①で)、紹介しました新約聖書の『コリント書一』の箇所でパウロが述べた次のことばが生き生きと思い起こされます。」
『それゆえ、信仰と、希望と、愛、この三つは、いつまでも残る。その中で、最も大いなるものは、愛である。』
●神父様、ありがとうございます。厳粛な「結婚式」のクライマックスが、とてもよく伝わってまいります。
結婚式を司式なさる神父様だからこそ、おわかりになる「結婚式」の最重要部分ですね。(山田)
5. まとめ
『最も大いなるものは、愛である』という、『パウロの賛歌』(聖書)を、パート①でもご紹介しました。
その意味が結婚式の中で、新郎・新婦にとっての「結婚」を祝福するものとなることがよくわかります。
教会での結婚式では、司祭との「結婚講座」の中で、自分の考えや思いを話すだけではなく、パートナーと一緒に、「結婚式の流れ」を知り、あらかじめ心得ることができます。
そして、結婚式までの期間に、パートナーの考えや思いを知る良い機会にもなりますね。
すでに結婚をされたかたも、「愛を誓うこと」について、ふたたび思い出してみませんか?
福田 誠二神父 〔P. Dr. Seiji Fukuda〕╱プロフィール
1953年 山口県生まれ。1994年 聖アントニオ神学院卒業。同年カトリック司祭叙階。
2000年 ミュンヘン大学カトリック神学部博士課程修了。神学博士。
聖アントニオ神学院、清泉女子大学、白百合女子大学、聖母大学、上智大学、聖マリアンナ医科大学で教鞭を取る。
元聖マリアンナ医科大学宗教学教授。現在、カトリック松江教会主任司祭。
カトリック広島司教区教理編纂委員会委員長、広島・幟町カトリック教会エキュメニカル・諸宗教対話神学研究会主宰、
広島県宗教連盟主事。
著書及び訳書は『ヨハネス・ドゥンス・スコトゥスのペルソナ神学』(サンパウロ、2002年)、『フランシスカン研究』Vol.1-4 (聖母の騎士社、教友社、2006年~2010年)、ファーガス・カー『二十世紀のカトリック神学』(教文館、2011年)、ハンス・キュンク『キリスト教 本質と歴史』(教文館、2020年)など。
その他、学会誌掲載論文、大学紀要掲載論文など多数。