働く女性の本音_vol.118_田中 佑季さん

目の前の人たちの声を拾い続けていたら
自然とこのジムの形になっていた

家業を手伝いながら、実戦空手に汗を流した20代。ただ、運動不足の解消が目的なので、格闘技にはまるで興味がなかったと振り返ります。だからキックボクシングへの転向も、単純にプロ選手のカッコよさに惹かれたから。しかし空手の経験も活きて転向後はめきめきと頭角を現し、遂にはプロデビューも果たした田中さん。デビュー後は、興行が組まれれば三原から東京での試合に向かう日々。世界大会ベスト8など輝かしい戦績とは裏腹に、試合の度に7〜8㎏の減量は本当にしんどかった…と、今だから笑って話します。

30歳、引退をかけて臨んだ試合で敗戦。ずっとこのままではいられないと、整体業へ。雇われ店長を経て自院をオープンしますが、いつも感じていたのが「どうしてこんなにみんな不調なの？」という疑問でした。そこで自身の経験から、これはストレスと運動不足が原因なのでは…と、キックボクシングをメニューに取り入れてみた田中さん。これが当たり。お客さんの体調もウケも良く、何より自分自身も楽しい。お客さんの声に応えるように、キックボクシングだけの曜日がスタートしました。「いざ始めてみると、赤ちゃんを連れて来られる方がとても多くて。子連れで行ける運動施設ってないんですよって声もたくさんいただいて。そうか、ないなら自分で作ろう！と思ったのが今のジムの始まりです」。

こうして走り出した託児付きの女性専用ジムは、男性がいると行きにくいと感じる女性にも好評に。特に子どもが小さいママたちは24時間子ども優先。いつの間にか自分らしさを見失うことも珍しくありません。そうしたママたちが積極的に自分のためだけの時間を持つことで、笑顔が増え、どんどん明るく輝いていく姿を見るのが、田中さんの何よりのやりがいです。一方、そんな田中流の指導に「女性だから」「選手じゃないから」は皆無。楽しさはもちろん、しっかり技術面も指導します。ここには、キレイにカッコ良く、そして自衛のために強くなってほしいという田中さんの思いが込められています。

最近は、食の大切さや睡眠の重要性、脳の疲労を取る瞑想まで、体を動かすこと以外の健康面にも幅広くアプローチ。関わる人たちの声を拾い続けてできあがった田中さんのジムは、そこに通う女性たちの声を拾い続け、今なお進化中です。