働く女性の本音_vol.78_谷口千春さん

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谷口 千春さん
株式会社真屋取締役/minagarten(ミナガルテン)代表

■プロフィール/埼玉生まれ、広島育ち。京都大学と東京大学大学院で建築を学び、コミュニティデザインで街を面白くする企画・設計を行う(現)UDS株式会社に入社。キッザニアの立ち上げにも携わる。その後、出版業界、着物業界を渡り、フリーランスとしても活躍。再びUDSに戻ると、沖縄のホテルプロジェクトで芸術・文化面を担当。2020年4月に帰広。minagartenの代表として事業の総指揮を執る。


みんなでつくる、みんなの場所
ウェルビーイング(幸福)な街を皆賀に

担当編集者もつくほど将来有望な漫画家志望だった少女時代。当時、描く物語の背景でしかなかった建築は、物理や工学といった得意分野との接点を見出すことで、やがて学ぶべき道になったと振り返ります。一方、大学院時代には、学生たちによる大規模イベントも主催。企画・実行から資金調達まで学生たちのみでやりたいことを実現させていくこと、それが可能なことを体験し、元々あった企画やプロデュースへの興味も俄然高まりました。卒業後は、地域資源を活用し、仕組みやデザインで〝街を面白くする〟仕事に従事。出版社で編集力を、着物屋で運営経験を、フリーランスとしてプロデュース力を養うといった転職を経て、今春、実家のある広島・皆賀へ戻ってきました。
現在、谷口さんが手がける一大プロジェクトが、「minagarten(ミナガルテン)」。住宅エリアとカフェや民泊などの複合型コミュニティエリアからなる〝街づくり〟です。きっかけは、実家である農園の閉園。「父親が体調を崩し母親が孤軍奮闘する中で、自分はこれまでいろんな地域の資源活用に関わってきたけど、ここは長女として農園の跡地活用をやらねばならないという使命感がありました」。そして父と母に、今後は思い描くサードキャリアを送ってほしいのだと、彼女は続けます。
そんなミナガルテンのコンセプトは、ウェルビーイング。身体的、精神的、社会的に良好な場所です。「多様性の中で育つことが幼少期から大事だと、自らを思い返して気づきました。お互いが違うことをそのまま受け入れるからうまくいく。「mina」(皆)は、フィンランド語では「私」という意味。ミナガルテンは、みんなと私が共存することで生まれる自信や寛容さに溢れた場所にしたいんです。そして、皆賀という場所から広島の、平和のひとつのあり方を実現していきたいです」。今後は県内の広域連携も重視し、世界中から訪れる人と地元の人をマッチングできる場所、あるいは移住を検討している人の拠点として、多様なつながりを持てる〝街〟を目指します。
構想2年半、休みらしい休みもない日々ですが、期せずしてこれまでのキャリア全てを活かせる仕事に、不思議な巡り合わせも感じます。それはまるで、このプロジェクトのために歩んできたようなー。来年初夏の〝街開き〟に向けて、彼女の歩みは一歩一歩力強さを増していきます。


■ 働き女子のカバンと中身

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バッグ(JIL SANDER)
上質なレザートート。PCもすっぽり入る容量もさることながら、スクエア型のシンプルなデザインに加え、切りっぱなし加工など小技が効いている点が谷口さんのお気に入り♪


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お茶(tabel)
薬草を研究する友人のブランド茶。全国をめぐり、土地々々に根付いた薬草文化との出会いから生まれた、無農薬、無化学肥料の体に良い伝統茶を届けてくれます。お茶の種類によって効能が違うので、シーンに合わせてほっこりできます。


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お皿
バルセロナで買った個人作家のお皿。実は割ってしまい、谷口さん自らが金継ぎで修復。これにより、より愛着が持てるようになったのだとか。「割れた美しさを愛でる…。人も同じですよね」と谷口さん。


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minagarten告知物
目下、手放せないアイテムがこれ。10月にシェアキッチンやレンタルスタジオが先行オープンし、土日を中心にイベントも開催中。宅地分譲も早くも人気なのだとか。
詳しい情報は↓
https://minagarten.jp/


♥ 働き女子に10の質問

Q1:座右の銘は?

日日是好日


Q2:最近ハマっていることは?

1日1日植物の変化を愛でること


Q3:どうしてもこれだけは譲れないことは?

自分らしくあること


Q4:行きつけのヘアサロンは?

まだ広島を開拓できていないので、東京へ戻ったとき東京の行きつけサロンへ


Q5:行きつけのファッションショップは?

同じくまだ広島を開拓できていないので、東京へ戻ったとき東京の行きつけショップへ


Q6:何フェチ?

異素材のコンビネーション(シンプルなモノ同士の組み合わせが特に好き)


Q7:幸せだと感じる瞬間は?

幸せについて誰かと語らっている時(ウェルビーイングの共有)


Q8:最近一番感動したことは?

(ワークショップで)自分のシンボルマークを考えたとき、これまで枝葉を上に横に伸ばしてきたけど、これからは同じくらい根を張っていこうという自分自身を支えてくれるビジョンが見えて号泣してしまった


Q9:いま一番ほしいものは?

ミニバイクであちこち散策したい


Q10:10年後は何をしている?

平和と文化と芸術に関わる仕事をしていて、今持っているビジョンをより確かなものにしていたい