働く女性の本音_vol.95_森 かおりさん

心を軽やかにするアロマの魅力を
個人だけでなく広く社会に伝えたい

子育て中に体調を崩し、相談に行った漢方薬局で症状が改善したのがアロマテラピーとの出会い。自然療法の力を実感し、そこからスクールに通い、専門資格を取得します。その後、さらに勉強を重ね、子育てサークルやアロマ教室を主宰。自身の体調、心、生活までを軽やかにしてくれたアロマの魅力を生徒さんに伝え続けました。ただ、ここまでは全て学びや趣味の延長。転機は旅行で訪れた札幌のホテルでした。「ロビーを満たす天然エッセンシャルオイルの香り。それによりホテル自体が深く印象付けられました。私が行っていたのは個人利用のアロマだけど、広く社会に向けて認知してもらえる方法があるんだと感動しました」と森さん。アロマに興味がない方にも体感してもらえる機会になるのではと起業を決意。不安はなく、広めたい一心だったと振り返ります。

現在５年目を迎えた会社は、ショールームやオフィス、マンションギャラリーなど幅広い場所で香りの空間演出を行っています。また、セントマーケティングと呼ばれる香りを使った企業ブランディングも森さんの得意とするところ。ロゴのカラーや企業理念、ターゲットなどを丁寧にヒアリングし、印象に残すための調香を重ねます。他にも、香りを使ったオリジナル製品の企画開発や自社製品の製造販売など幅広い事業を展開中。とはいえ、起業から２年ほどは苦労の連続でした。香りという目に見えない物を扱うため、営業先で「費用対効果がわからない」と言われることもしばしば。それでも香りの重要性を理解してくれるクライアントに出会えて今があると感謝の気持ちでいっぱいです。「クライアント様の企業イメージや売上の向上に貢献できた時はもちろん、その先にいるお客様に香りの良さが伝わることが大きなやりがいであり喜びですね」。

ホスピタリティをはじめ、空気環境の改善やメンタルヘルスなど、多くのエビデンスが化学的・医学的に注目されるアロマテラピー。コロナ禍でその需要も高まっているとされます。「いつか店舗をオープンさせ、一般の方でも気軽にオーダーメイドの香りを作れるようにしたい」と展望を語る森さん。変わらず彼女の根っこにあるのは、自身の体調が改善し生活が心豊かになった体験と、そんなアロマの力を一人でも多くの人に伝えていきたいという思いです。